【読】読了 『石原莞爾試論』 (平岡正明)
面白く、勉強になる本だった。
この一冊を論評する力量が私にはないが、怪著というかなんというか。
日に焼けたカバーをはぐと、こんな表紙だった。平岡正明 『石原莞爾試論』
白川書院 1977/5/15発行
四六判 224ページ 1300円
雑誌 『第三文明』 に連載されたものらしい。
だからどうした、ということもないが、潮出版社、第三文明社と平岡正明の関係は深いようだ。
石原莞爾は「熱心な日蓮主義者」(Wikipedia)であったが、平岡氏のこの著作では、その点までは言及されていない。
(著者は、「本書が石原莞爾論として未完成のものだ」と、あとがきで断わっている。)
終章 「石原莞爾と若き大山倍達」 が、とても興味ぶかい内容。
大山倍達と石原莞爾のあいだにつながりがあったことは、意外だった。
平岡氏は、極真空手の猛者(有段者)でもある。
私は、空手や武術にはまったく詳しくないが、「空手バカ一代」 という劇画は一世を風靡したもので、懐かしく思いだす。
以下、この終章で平岡氏が描く大山倍達氏の若き日のエピソードの一部。
感動的な話だ。
<山梨少年航空学校を卒業した彼は航空機の整備兵にまわされる。 そして一度軍隊から脱走するのだ。 上官の兵いびりが原因だ。 夜、宿舎で、大山倍達が遠く妹さんからきた手紙と写真を眺めていると、上官がやってきて、写真をとりあげ、破りすてた。>
<怒った倍達の一撃、上官を半殺しの目にあわせた。 反抗罪で八か月の重営倉である。 夜毎、上官は仲間とやってきて、竹刀による私刑(リンチ)。 さしも頑健な倍達も、殺されると思い、自ら口唇をかみ切って大量に出血し、ために病院にかつぎこまれた。 そしてこの病院から彼は脱走した。 たった一枚の写真から――。 その写真には朝鮮の民族衣装を着た妹さんが写っていた。>
(本書 218-219ページ)
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