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2009年3月26日 (木)

【読】カハーニーシルベナーク

<……空路で二週間ぶりに首都ヤンゴンへ戻ってきた。
 川下りもインド国境も、ただの観光といった程度で私には印象が薄かったが、船戸与一は御機嫌だった。
 「小説の題名を思いついた」という。
 「どういうのですか?」
 「カハーニーシルベナークだ」 船戸さんは得意気に言ったが、私は眉をひそめた。
 『アンナ・カレーニナ』とか『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』みたいな東欧系のタイトルは船戸さんには珍しい。というか、ミャンマーに全然合っていない。
 そう言うと、「バカ!」と叱られた。「『河畔に標なく』だよ」>

船戸さんは、このタイトルが閃いたときに「もうこれで小説は書けたも同然だな」と言った。
「え、タイトルだけで万事オーケーなんですか?」と聞くと、「そうだよ。あとはこの題名に沿うように書きゃいいだけなんだから」と言った。

(高野秀行 『ミャンマーの柳生一族』 集英社文庫)


Funado_kahan_ni_shirubenaku『河畔に標なく』 船戸与一
 集英社  2006年
 493ページ 1900円(税別)

ついに、読了。
おもしろかったな。

ミャンマー(ビルマ)の中央部を北から南へ流れる川が、イラワジ川(エーヤワディー川)だ。
この物語は、そのイラワジ川に沿って展開する。
ミャンマー北部のカチン州。
ミャンマー国内では、民族対立が続いていて、とくにカチン州では独立をめざす勢力(カチン独立軍)がいまも活動している。
ミャンマー国軍、カチン新民主軍、ナガ民族社会主義評議会軍、といった勢力も、この地をめぐってしのぎを削っている。
軍事費を捻出するために、阿片をとる芥子が栽培されている。
かなり複雑な事情をかかえた国だということを知った。

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