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2009年4月15日 (水)

【読】毒草の本

ずいぶんまえに、古本屋で手に入れた本。
タイトルにひかれ、内容にもひかれた。

今日から読みはじめたのだが、すこぶる面白い。

Dokusou_tabetemita_2『毒草を食べてみた』  植松 黎 (うえまつ・れい)
 文春新書 099  2000/4/20発行
 221ページ  690円(税別)

この本でとりあげられている毒草。
馴染みぶかいものもあれば、私の知らなかった植物もある。
列挙してみよう。
全部で44。

ドクウツギ、バイケイソウ、キョウチクトウ、トリカブト、フクジュソウ、キナ、バッカク、シキミ、ドクゼリ、アサ、スイトピー、ヒガンバナ、スズラン、タバコ、コカ、ジギタリス、イヌサフラン、インドジャボク、クラーレノキ、マチン、ストロファンツス、イラクサ、ケシ、クサノオウ、スイセン、オトギリソウ、アセビ、マンドレーク、ヒヨス、ベラドンナ、アイリス、イチイ、ポインセチア、クリスマスローズ、ビンロウ、マオウ、トウワタ、チョウセンアサガオ、ペヨーテ、ドクニンジン、ニガヨモギ、エゴノキ、ミトラガイナ、ゲルセミウム・エレガンス。


まだ15番目の「コカ」までしか読んでいないが、意外な植物にも猛毒のあることがわかって、おもしろい。
バイケイソウ、キョウチクトウ、フクジュソウ、シキミ、スイートピー、スズランなどがそうだ。

たとえば、フクジュソウ(福寿草、キンポウゲ科フクジュソウ属)。
アセボトキシンという心臓に作用する毒が、根に含まれる。
このフクジュソウが、「食用の山菜」としてテレビで紹介されたことがある(平成10年4月)というから驚く。
実際に、心臓病と糖尿病を患っていた老女が、「フクジュソウの根を煎じて飲めば心臓にいい」ということを聞いて試したところ、発作を起こして亡くなったという話も紹介されている。
なまはんかな民間療法も怖いものだ。

アサ(麻、アサ科アサ属)は、麻薬的用途には大麻(マリファナ)、繊維には麻(ヘンプ)、植物学的にはアサ(カンナビス)と、利用目的に応じて呼び方が変えられている、ということも、この本を読むまで知らなかった。

いま、世間を騒がせている大麻草は、ロープの原料となる麻とは別物だと思っていたが、成分(THC:テトラヒドロカンナビノール)の含有量の多寡の違いしかないらしい。

大麻と人類とのつきあいは古く、治療薬として紀元前1000年頃から利用されていたという。
1997年のWHOの調査では、「大麻は酒やタバコより安全」という結果が出たのに、公表されず握りつぶされたということも紹介されている。
ちかごろの日本の大麻騒ぎも、どこかおかしいと思う。


いろいろと考えさせられる内容が満載の本である。

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コメント

 福寿草は毒草だったのかあ。びっくりです。旭川の常盤公園でよくみたのですが、こちらでは花屋さん以外では見ないです。昨日、テレビ「日本の名峰」が大雪山を見せてくれました。トムラウシまで旭岳から縦走するのですが、日本最大のお花畑(そうだったのかあ)の映像がほんとうに美しく感激しました。エゾノツガザクラ、イワウメ、チングルマ、チシマキンバイソウ・・・。コマクサを食べるウスバキチョウの幼虫も大写しで、ナキウサギも走っていたし見ごたえありました。
 こちらはすこし冷えこんでいますが、ハナミズキが咲き、藤も咲き出しました。桜も残っており、散歩しながら行く春を惜しんでいます。

投稿: みやこ | 2009年4月16日 (木) 16時22分

>みやこさん
有毒植物であることは確かですが、「根、茎、葉などに強心配糖剤アドニン(adonin)を含み、とくに根は強心剤として利用される」と書かれている図鑑もあります。
要は、使い方しだいということでしょうか。

「日本の名峰」、以前はよく見ていたのですが見逃しました。
北海道の山は、おおらかでいいですね。

東京も、ハナミズキが見ごろです。
八重桜がすごいですね。
新緑も日に日に色濃くなり、あっというまに初夏の雰囲気になりました。

投稿: やまおじさん | 2009年4月16日 (木) 20時55分

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