【読】高野さんのトホホ話
読みはじめると面白くてたまらない。
またこんな本をみつけて、読んでいる。
高野秀行 『世界のシワに夢をみろ!』
小学館文庫 2009/1/13日発行
237ページ 495円(税別)
親本 2005年9月 小学館より刊行
勤務先のすぐ近くにあるBOOK OFFで数日前に入手。
読まれた形跡のない真新しい本が、定価の6割程度で買えるのはありがたい。
『ヤングチャンピオン』(秋田書店)に連載されたエッセイが集められた、軽い読み物だ。
高野さんの世界各国の旅のエピソードが31話。
本のタイトルと、文庫版のカバー写真が秀逸だと思う。
「世界のシワ」とは、要するに「辺境」とか「僻地」と呼ばれる地域のことだ。
高野さんいわく。
今、世界の中心はアメリカである。
政治も経済も文化も、「グローバリゼーション」という名の「アメリカナイゼーション」、つまりアメリカ化が世界中に広まっていこうとしている。
(アメリカが広めようとしている、と言うのが正確かもしれない)
アメリカ化がすべて悪いということもないが、ひとつ言えるのは、アメリカ化が進むと「世界はのっぺりとする」。
「イメージで言えば、先進国と大都市を中心に、みんながせっせと大地にアイロンがけをしているようなものだ。」
この譬えは、わかりやすい。
そういうわけで、この本は、高野さんが「世界のシワ」、つまり、まだ「アイロン」のかかっていない国や地域を歩きまわって経験した 「トホホ話」 を集めたものだ。
魅力的なエピソードが満載。
半分ほど読んだが、私が気に入った逸話がいくつかある。
この本は、四つの章にわかれていて、それぞれ「奇の章」「妙の章」「珍の章」「異の章」と名づけられている。
「奇の章」は、「初デートは洞窟だ![日本・奥多摩]」ではじまり、例のゴールデン・トライアングル地帯でのアヘン研究(『アヘン王国潜入描かれている 「コンプリートな男 [タイ・バンコク]」 など、7話。
「妙の章」に収められている 「うんこ臭いプレーでいくべし [中国]」 と、「珍の章」の 「世紀末バスのすさまじき自由 [中国・貴州省]」 に大笑いした。
詳しいことはここに書かないが、かなりババッチイ話であり、私は、ババッチイ話が好きなのだ。
電車の中で、笑いをこらえるのに苦労した。
高野さんが「はじめに」で書いているとおりだった。
<これからお話しする三十一のエピソードは私が探検部時代の七年間と、卒業後の十数年間に体験した出来事である。「奇」「妙」「珍」「異」の四章に分けたが、読者が読みやすくなるようにという配慮以外、特に意味はない。ただし前半はわりと軽めのエピソード、後半は比較的ディープなエピソードという傾向はある。全篇を通して、食事中や電車の中では読まないほうがいい。思わず噴き出しても大丈夫な環境で楽しんでいただければ幸いだ。> (本書 「はじめに」)
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コメント
あっ、この本は知らなかったです。
明日からお出かけなので電車のお供にします。
似たような短編集は集英社文庫の「怪しいシンドバッド」という本もあります。
大喪の礼の時に来日したコンゴの外務大臣にコンパクトカメラをプレゼントした話(なんのこっちゃ?)とか中国に野人を探しに行った話が収録されています。
投稿: こまっちゃん | 2009年4月 2日 (木) 10時27分
>こまっちゃん
高野さんの『怪しいシンドバッド』と『アフリカにょろり旅』(青山潤さん)を購入しました。
いまは、高野さんの『ワセダ三畳青春記』を読んでいますが、期待を裏切らず、面白い本です。
投稿: やまおじさん | 2009年4月 2日 (木) 22時04分