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2009年5月24日 (日)

【読】船戸さんの魅力

Takano_zou1高野秀行 『辺境の旅はゾウにかぎる』 (本の雑誌社、2008年)を今日読みおえたのだが、船戸与一さんとの対談が面白かった。

船戸さんと高野さんは、早稲田大学探検部の先輩後輩の関係。
年齢が二十二歳ほど離れているらしいから、船戸さんの方がが大先輩である。

『河畔に標なく』 という、ミャンマーを舞台にした船戸さんの小説の取材旅行の案内役を、高野さんがつとめている。 大先輩に命じられた形だ。

この旅行のてんまつは、高野さんの 『ミャンマーの柳生一族』 (集英社文庫) に書かれている。
私がはじめて読んだ記念すべき 「高野本」 第一号であり、この一冊で高野さんのファンになってしまったのだ。

 【過去記事】
  2009/3/19 【読】船戸さんの素顔
    http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-4fbd.html
  2009/3/26 【読】快調、船戸与一
    http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-8dc6.html
  2009/3/26 【読】カハーニーシルベナーク
    http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-86f8.html


その対談だが、早稲田大学探検部の話からはじまり、船戸さんがノンフィクション畑から小説家に転向したいきさつが語られている。

船戸さんは、もともと小説など読まない人だったらしい。
それが、彼のノンフィクションを読んだある編集者から、「あんたの筆は小説に向いてるから小説を書いたらどうか。ミステリーならすぐデビューできるから、ミステリーを書け」 とすすめられたのがきっかけだったという。

船戸さんは聞き流していたが、半年ぐらいたって、「この間お願いしたのは進行してますか」 という葉書がきて、ようやく本気になった。
ミステリーなど読んだことがないので、ミステリー好きの人に相談して、ハードボイルドの名作を十冊選んでもらって読んだ。

「それを全部読んだんだけど、そういう作家たちの手法をいろいろ真似しても誰の作品だかわからなくなるだけだから」、「こういう書き方はしない」 という縛りを自分に課して、書くようにした。云々。

船戸小説誕生のヒミツがわかった気がして、興味ぶかい。


そういえば、高野さんのこの本に、船戸さんの 『金門島流離譚』 の書評があり、その中で <船戸作品特有の「負のカタルシス」> という表現をしている。
なるほどな、と思う。
船戸小説の魅力をうまくあらわした言葉である。


それにしても、対談での船戸さんの発言には、胸のすくような爽快さがある。
ちょうど、船戸小説の語り口のような。

高野さんに対して、(小説を) 「書いたほうがいい。年齢的にもちょうどいい時期だよ」 と、さかんにすすめているが、「自分の好きなことを書けばいいだけであって、誰かを見習うとか、そういうのは絶対やめたほうがいい。最初から自分のスタイルはこうだとやったほうがいい」 と、言いきる。

自信というか、ふてぶてしさというか、このあたりが船戸さんの人間的な魅力なのだろう。

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