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2009年7月12日 (日)

【読】『インディアスの破壊についての簡潔な報告』

ずっと気になっていた本を読みはじめた。
200ページほどしかない薄い文庫本なのに、なかなか進まない。

この本は池澤夏樹さんの著作で知ったのだが、池澤さんのどの本に書かれていたのか忘れてしまった。
購入してからずいぶん日がたつ。
『魔法としての言葉 アメリカ・インディアンの口承詩』(金関寿夫)を読んだあと、そうだ、こんな本があったっけ、と思いだしたのだ。

Las_casas_indias『インディアスの破壊についての簡潔な報告』
 ラス・カサス 著  染田秀藤 訳
 岩波文庫(青427-1)
 1976/6/25 第1刷発行/2005/5/24 第36刷発行
 205ページ 560円(税別)

インディアス(las Indias)――スペイン人が発見、征服した地域をの総称して、当時インディアスと呼んでいた。おおむね現在の西インド諸島、南アメリカおよび北アメリカの一部を指す。ラス・カサスはインディアスがインドの一部であると信じ、「新大陸」であることに気付いていなかった。 (本書巻末訳注による)


この「報告」が書かれた時代背景は、本書巻末解説によれば、こうだ。

<1492年10月12日、スペイン王室の援助をうけたイタリア人 クリストバル・コロン(コロンブス)がカリブ海に浮ぶ小島グワナハニ島に到着した。 その後、コロンは三回にわたって航海を行ない、アンティール諸島、中米、南米北部を探検し、また、その後多くのスペイン人征服者(コンキスタドール)が、自らの生命と財産を賭してインディアスへ渡り、数々の探検、征服を行なった。 その動機は未知なる土地への憧れ、金銀財宝に対する欲望、あるいは熱烈な宗教心など種々様々ではあったが、彼らは、コロンの第一次航海より僅か半世紀余りの間に不撓不屈(ふとうふくつ)の精神を発揮して南北両アメリカ大陸をほとんど踏査した。 彼らは金銀財宝のみならず、トマト、玉蜀黍(トウモロコシ)、タバコ、カカオ、ジャガイモ等当時ヨーロッパでは知られていなかった数々の産物をヨーロッパにもたらした。>

ラス・カサスについては、Wikipediaから引用する。

<バルトロメ・デ・ラス・カサス(Bartolome de Las Casas, 1484年8月24日 - 1566年7月17日)は16世紀スペイン出身のカトリック司祭、後にドミニコ会員、メキシコ・チャパス教区の司教。当時スペインが国家をあげて植民・征服事業をすすめていた「新大陸」(中南米)における数々の不正行為と先住民(インディオ)に対する残虐行為を告発、同地におけるスペイン支配の不当性を訴えつづけた。主著に『インディアス史』、『インディアス文明誌』などがあり、『インディアスの破壊についての簡潔な報告』でも有名。生前から激しい批判を受け、死後も相反する評価を受けることが多かった。「インディオの使徒」とも呼ばれる。>


ところで、ネット検索してみたら、池澤夏樹さんのサイト 「Cafe Impara」 の中の 「異国の客」 という連続エッセイに興味深い記事をみつけた。
自著の 『静かな大地』 と、この 『インディアスの破壊についての簡潔な報告』 に触れ、「敗者の歴史を誰が書くか」 をテーマに池澤さんらしい考えを述べている。

Cafe Impara
 http://www.impala.jp/

 「異国の客」 063 冬の到来、エッフェル塔、敗者の歴史 その2
 (池澤夏樹 執筆:2006‐11‐25)
  http://www.impala.jp/ikoku_wp/?p=66


池澤さんが言うように、ラス・カサスの報告書は 「告発調で、ある意味では紋切り型」。
読みにくいものだが、書かれている内容は驚くべきものだ。
ヒトという生物は、よくもまあ、ここまで残忍なことができるものだ、という思いを重ねながら読んでいる。

その、ごく一部。
読んでいて胸が悪くなる、当時のスペイン人たちの悪逆非道ぶりである。
引用中の「彼ら」はインディオ。

<そこで、彼らは馬を落し入れるための罠を考えた。彼らは道に穴を掘り、そこに落ちこんだ馬の腹部に突き刺さるよう、先を尖らせ、焦がした棒をその中へいっぱいうめ込み、穴の上には小枝や草をかぶせて何もないように見せかけた。しかし、スペイン人たちはそれから身を守る術を心得ていたので、馬が罠にはまったのは僅か一、二度であった。その仕返しに、スペイン人たちは、老若男女を問わず全員インディオたちを生け捕りし、その穴の中へ放り込むことにした。こうして、彼らは身重の女や産後まもない女、それに、子供や老人、そのほか生け捕りにしたインディオたちを穴の中に放り込み、その穴の中は、しまいには串し刺しになったインディオたちで一杯になった。ことに、母親とその子供の姿は胸の痛む光景であった。スペイン人たちは残りの人びとを全員槍や短刀で突き殺し、獰猛な犬に分け与えた。犬は彼らをずたずたにして食べてしまった。>
 (「グワテマラ地方と王国について」 P.77-78)

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コメント

 本:「インディアスの破壊についての簡潔な報告」は
 キリスト教徒とキリスト教聖職者たちが行なった史上
最悪の愚行(南北アメリカ大陸などの卑劣な殺戮)を記
した書であるが
・・・その49頁に・・・
 キリスト教徒等に、300人のインディオを分配されて、
 3か月のうちに、そのうちの270人が鉱山労働で死ん
でしまい、
 生き残ったのは30人に過ぎなかった。
 3か月か4か月の間に、約7000人以上の子供が
餓死した。 
 両親が鉱山へ連れ去られてしまったからである。
 また、
 私(キリスト教聖職者)は、
 そのほか数々の身の毛がよだつような出来事を目撃した。
 (この聖職者は何らインディオを助けようとしなかった悪漢)
 その後、インディオ達を狩り出しに行くことになった。
 結局、
 キューバ島を荒廃させ、全滅させてしまった。
 総督は、無慈悲で無分別で、
 (今さら、インディオたちが死んでしまった後、こんな
ことを言ったって、この聖職者は殺すがままにさせていた悪漢)
 彼の行った忌まわしい行為は、それまでのものをことご
とく凌いでいた
(他人に悪さを転嫁するな、誰もいなくなった荒れ地に
教会を建てただろう)。
 金も非常に豊かであった。
 それまでは、地上にそんなにも多くの金があろうとは
思いつかなかった。
 金の在所(ありか)を白状させ、
 数々の新しい虐待や拷問の方法を考え出した
 (止めろとも言わなかったキリスト教聖職者、今頃、
弁解したって死んでしまったではないか)。
 その聖なる使命をいつもないがしろにしていた。
 (おまえさん、キリスト教聖職者が聖ではないのだ)。
 全世界に行ってすべての人々に福音を述べ伝えよ。
 (福音じゃないよ、殺しに行っただけではないか、総
べて殺して)
 さもなくば、妻子ともども生命をも失なうことになる
であろう。
 盗賊と変わらない部下たちを先に派遣し、
 われらは神とローマ教皇、それに、この地の君主である
カスティーリャの国王についてお前たちに知らせにやって
きた・・・云々。
 さもなければ、われらが即刻、戦さを仕掛け、お前たちを
殺したり捕えたりすることになると心得よ。
 夜の明けそめる頃、大半が藁造りのインディオ達の家に
火を放った。
(キリスト教聖職者は止めもしない)、
 殺戮をほしいままにし、彼らに奴隷の焼印を押した。
 火勢が弱まるか、火が消えると、彼らは焼け落ちた家の
中にある金を探しに出かけた。
 官吏たちとて例外ではなかった。
 キリスト教の司教も、その御利益にあずかろうと側近の
者たちを派遣した。
(ほら見ろ、キリスト教聖職者も欲にまみれた悪漢だったのだ)。
 数人の無法者の総督が引き続きその地へ赴いた。
 生きのびたインディオ達を暴虐的な奴隷状態へ陥れ、
挙句の果てに殺害した。
 また、彼らは部下たちが同じように振る舞うのを認めて
いた。 (キリスト教聖職者も同罪)・馬鹿め。
(これらの行為はキリスト教の教義から来る行為です・
  ・・キリスト教はこの様な宗教なのです・・・)
参考URL: http://blog.goo.ne.jp/hanakosan2009  
  URL: http://32983602.at.webry.info/

投稿: 今田 肇 | 2012年5月10日 (木) 12時11分

>今田 肇さん
ネット検索でこの本について書かれたブログ記事を探しては、まったく同じ内容のコメントをコピペで撒き散らしているようですねぇ。ご苦労なことです。

投稿: やまおじさん | 2012年5月10日 (木) 15時01分

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