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2009年8月 5日 (水)

【読】身軽なサハリン紀行

吉村昭の小説 『間宮林蔵』 は面白かった。
ずいぶん時間がかかったけれど、今朝の通勤電車の中でようやく読了。

きっと帰りの電車の中で読む本に困るとだろうなと予測して、持って行った本がある。
先週日曜日に図書館へ本を返しに行ったとき、備えつけの端末で検索して見つけたものだ。
検索キーワードは「サハリン」。

Igura_yuuki_sahhalin_kikou『ロシア・ビギナーのサハリン紀行』
   ― 船で5時間のヨーロッパひとり旅 ―
 井椋有紀(いぐら・ゆうき) 著
 文芸社 2003/6/15発行 1000円(税別)

文芸社なので自費出版と思われる。
著者については、よくわからない。
巻末の著者プロフィールがこんなふうにとぼけた調子だから。

― 著者プロフィール ―
<江戸時代より多くの旅人を迎えた三重県生まれ。/旅に目覚めたのは社会人になってから。/旅人としては、かなり遅咲きのデビューを飾ることになる。/そのせいか、本書のサハリンがやっと10回目の渡航である。/これまでに訪れた国はペルー、ブータン、パキスタン、北朝鮮、グリーンランドなど。決して奇をてらって行き先を決めているわけではないと、ここで明言しておく。>

うら若き、旅好きの女性という感じを受ける。
サハリンへ、行きは稚内からフェリー、帰りは函館まで飛行機という手段を選んだこの人。
格別、サハリンに思い入れがあるわけでもなく、船で外国へ行ってみたかったのと、帰りは国際線のプロペラ機に乗りたかったというのが理由らしい。

なんとも、身軽というか能天気というか。
そんな軽い旅行記だが、読みはじめてみるとなかなか面白いのだ。

この人は、名古屋空港から千歳空港へ、札幌から稚内までは夜行特急 「利尻」 のお座敷車両を使い、稚内からコルサコフまでのフェリーは二等桟敷席を利用。
稚内港の国際ターミナルまでなかなかたどり着けなかったったり、コルサコフに着岸して船内でのロシア係官による手続きの現場を写真に撮ろうとして止められたりと、ドタバタ続きで面白い。
物怖じしない、好奇心に富む人らしい。

ページの下、三分の一ぐらいのスペースを割いた「脚注」がぎっしり書かれているが、これがなかなか参考になる。

例えば――

<お座敷列車 「利尻」では7月4日~8月17日の間(2002年のスケジュール)、毎日「ゴロ寝カー」という名のお座敷車両が連結されます。これは文中にも出てきますが、フルフラットのお座敷で横になることができます。毛布と枕が無料でついていて、料金は指定席と同じなのでかなりお得。ただし、一人当たりのスペースはかなり狭いので寝相が心配な方は座席か寝台の方がいいかも……(笑)。/このお座敷車両については札幌発稚内着、または稚内発札幌着と通しでしか買えませんのでご注意ください。>

<サハリンの絵はがき 船内の売店でサハリンの絵はがきが売っていました。ロシアのキリル文字だけではなく、日本語も書かれています。日本で印刷されているもののような印象を受けました。この絵はがきはガイドブックにもサハリンの土産物として載っていましたが、私は現地で見つけることができませんでした。サハリンで購入したものは別なものだったので、たくさん絵はがきを買われる方で、船で行くのであれば、ここで一セット購入しておくのも一つの手かもしれません。……>

といったぐあいで、へたなガイドブックよりよほど役に立つかもしれない。
何よりも臨場感があって、いいのだ。

読みはじめたばかりだが、先が楽しみな本だ。


e-honサイト
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031136951&Action_id=121&Sza_id=HH

Amazon
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4835558065

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コメント

この本の存在は知りませんでした。こんな人だからそ経験できる面白さがあるように感じます。私の場合、サハリンへの旅の後になりますが、きっと面白いと思い注文してしまいました。

投稿: 玄柊 | 2009年8月 5日 (水) 22時20分

>玄柊さん
さっそくのコメント、ありがとうございます。
私は吉村昭の『間宮林蔵』の世界にどっぷり浸かっていたので、人のほとんどいない荒野をイメージしますが、現在のサハリンは「ヨーロッパ」なんですね、きっと。

この本、玄柊さんにとっても、きっと面白いと思います。
宮澤賢治『銀河鉄道の夜』にも、やはり触れられています。

著者がどんな人なのか全くわかりませんが、そんなことよりも、こういう旅ができるのはいいなと思わされます。
サハリンの北部までは、なかなか行けないようですね。

投稿: やまおじさん | 2009年8月 5日 (水) 22時41分

共産主義体制は崩壊したとはいえ、他国を敵と見る体質は同じ・・。しかし、普通に生きる人々は、ひと懐っこくていい人が多いと思います。
私は、サハリンを「最も近いヨーロッパ」と感じましたが、自由市場のようなところばかりを歩いた人は、「アジア」と感じる人もいます。旅の仕方によって、感じ方、書き方は変わりますね。

投稿: 玄柊 | 2009年8月 6日 (木) 02時31分

>玄柊さん
もう少しでこの本を読み終えるところです。
サハリン、やはり旧ソ連の体質が残っているようで、旅をするのもたいへんそうですね。
自由市場というのは、ちょっと興味をひかれます。

日本のKIOSKと同じ呼び名のキオスクの店の様子は、まえに読んだ『東方見便録』という本に、内澤旬子さんのイラスト入りで紹介されていますが、面白いなあと思いました。

稚内からフェリーに乗ればすぐにでも行けそうなサハリンですが、やはり「外国」なんだなあと感じました。
国後や択捉などへも行ってみたいなあと、ずっと長いこと思っています。

投稿: やまおじさん | 2009年8月 6日 (木) 19時51分

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