【読】本が読めない日々
このところ、途中で投げ出す本が多い。
活字の世界に入り込めない生活も、つらいものだ。
萱野茂 『炎の馬』 (すずさわ書店)
『江戸時代にみる 日本型環境保全の源流』 (農文協)
この二冊がどうにも続かなくて、それならいっそ読みやすい小説でも、と思って今日から読みはじめたのが、下に掲げた文庫本。
さすがに、吉村昭さんの小説は面白い。
面白いが、集中できない。
無理して本など読まなくてもいいと思うのだが、そこは活字中毒者の悲しさ。
乗り物のなかで、ぼーっとしていられないのだ。
とつぜんだが、楽になりたいな、と思う。
「こんな渡世から出ていくんだ」 ――これは、たしか高倉健の 「昭和残侠伝」 かなにかの映画のセリフだ。
今の私の心境も、そんなものだ。
「こんな渡世から出ていくんだ」 と、健さんみたいに見得をきってみたいものだが、なかなかそうもいかないのだ。
あ、これはひとりごとです。『星への旅』 吉村昭
新潮文庫 1974/2/22初版発行
326ページ 514円(税別)
短編集。
「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「星への旅」「白い道」 の六作収録。
一日かけて、やっと最初の 「鉄橋」 を読む。
昭和33年(1958年)の作品だというから、私がまだこどもの頃だ。
蒸気機関車がでてくる、なにやら懐かしい時代のはなし。
サスペンスというか、ミステリーというか、謎解きの面白さと、吉村氏らしい人間洞察がある。
この本とはまったく関係ないが、池澤夏樹さんの連載小説(東京新聞連載の『氷山の南』)も、おもしろい。
毎朝たのしみにしている。
池澤さんのストーリーテリングの技も、すごいものだと感心している。
小説は、こうでなくちゃ。
『氷山の南』 池澤夏樹 (東京新聞連載) 第6回 2009/9/6(日)
影山 徹画伯の挿絵もいい。
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コメント
吉村昭の遺作「死顔」を図書館から借りて昨日読んだばかりです。
いままで読んだことのなかった作家ですが、津村節子さんのご主人だと、初めて知りました。
作家の夫婦って、どんなでしょう、と思いました。
投稿: モネ | 2009年9月10日 (木) 21時13分
モネさん>
吉村昭はおもしろいですね。
津村節子さんは名前を聞いたことがあるな、という程度でよく知りませんが。
作家の夫婦、どうなんでしょうね。ふつうの共働きとは違うんでしょうね。よくわかりません。
投稿: やまおじさん | 2009年9月11日 (金) 22時41分