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2010年1月 1日 (金)

【読】なかなか読めないもんだ

年末年始休みに、本がたくさん読めるかと思ったが、なかなか読めないもんだ。
年をまたいで、船戸与一の小説を読んでいる。
まだ全体の三分の一しか読めていない。


Funado_kourin_no_mure_2船戸与一 『降臨の群れ』
 集英社 2004/6/30発行
 493ページ 1900円(税別)

舞台は、現代のインドネシア。
主要な登場人物は、四人。

話が錯綜していてわかりにくいが、これがそのままインドネシアという国の複雑な情勢を反映しているのだろう。
船戸小説の特徴で、複数の登場人物のそれぞれの視点から物語の展開が描かれているのだが、この小説では、章別ではなく節の単位でめまぐるしく切り替わるため、こま切れ読みだと話の流れがつかみにくくて困っている。

作者もそこは意識しているのか、主要登場人物一覧のしおりが挟みこまれている。
私も、しょっちゅうこの紙片を見ては、登場人物の立場を確認しながら読んでいる。
(名前がまた、憶えにくいものばかりだ)


― 「降臨の群れ」 主要登場人物一覧 より ―

 笹沢浩平 ロンボク島で働く養殖海老の技術指導者。
 シャキブ・サスチオン イスラム教徒。ボートの所有者。
 ロバート・コファン カトリック教徒の華人。ホテル経営者。
 サイラス・ディサフ プロテスタント。キリスト教徒防衛軍。

 イドリス・パティムラ アンボンの英雄。パティムラの子孫。
 カシム・ファウジ 国際テロ組織アル・カイダのメンバー。
 ティモシー・ヤン マカッサルから来たコファンの友人。
 ランドルフ・ドラン 密航などの裏ビジネスの斡旋業者。
 マジッド・アムナン インドネシア陸軍情報部大尉。
 ロジャー・マッケイ アメリカのCIA局員。
 アフマド師 アンボンのイスラム教徒の指導者。
 フランク・アチェンドロ キリスト教徒防衛軍の指導者。
 ジョナサン・コファン ロバート・コファンの息子。
 ユスフ・ピアタマン サスチオンの同業者。


銃と殺戮。
民族と宗教に根をもつ紛争。
現代の東南アジアでは、これがあたりまえの現実なのだろう。

日本で、のほほんと暮らしている我々には、なかなか想像できないけれど。
船戸与一作品を読んでいると、この日本という国の異常さ(アジアの異端とも言える異常な現実)が、わかってくるような気がする。
「異常」と言って悪ければ、「特異」とでも言うべきか。
アジアであってアジアではない、それが、このジャパンという国だろう。
何かヘンだと思うのだ。
(エラそうなことを言うようだが、船戸ワールドにひたっているとそんな気分になってくる。そうかといって、ジャパンで日常生活を営んでいる現実から逃れることはできない。それがジレンマなのだが……)

ともあれ、表面的な新聞報道などではわからない世界の紛争地帯の状況を、船戸作品から学ぶことができる。
もちろん小説という形を借りたフィクションではあるが、そこに描かれているのは、まぎれもなく現代世界の生々しい現実だと思う。

― 『降臨の群れ』 帯より ―
<アッラーを冒涜するアメリカへのイラクの怒り。その怒りは、インドネシアに向かっている。人口2億。その9割がイスラム教徒。彼らがイスラムの原理に向けて傾倒しつつある。本書はその象徴的な場所としてアンボン島を舞台にしている。/ストーリーはフィクションだが、状況は現実そのものである。 船戸与一 「青春と読書」7月号より>

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