【読】山妣(坂東眞砂子)
「やまはは」と読む。あるいは「やまんば」。
今週火曜日から、夢中になって読み続けている。
ここ数日、ひさしぶりに小説の醍醐味に酔っている。坂東眞砂子 『山妣(やまはは)』
新潮社 1996/11/20発行
488ページ 2205円(税込)
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/410414701X
<内容(「BOOK」データベースより)
明治末期、東京からやって来た旅芸人が静かな越後の山村に嵐を巻き起こした。その男の肉体に隠された秘密、そして地主の若夫婦との間に芽生えた密やかな三角関係が、伝説の中から山妣の姿を浮かび上がらせる。明らかになっていく山妣の凄絶な過去。そして熊狩りの日、山神の叫ぶ声が響き、白雪を朱に染める惨劇の幕が開いた―。雪国の自然と習俗を背景に、情念と伝説が織りなす愛憎劇を濃密に描きホラー・伝奇小説の枠を破った比類なき千二百枚。 >
三部構成。
よくできていると、感心する。
今日、ちょうど第二部まで読みすすんだ。
あまり書くと、ネタあかしになってしまうので詳しくは書かないが、これほどよくできた小説にはめったに出会えない。
文庫もでている(新潮文庫、上下二巻)。
私は、単行本を大型古書店で安く手に入れた。
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コメント
岸本完司『晴読雨読日記』で激褒めされていますね。まだ、読む機会ないんですが、そのうち、きっと読むことになりそうだという予感あります。「よくできた小説」というと、京極夏彦『鉄鼠の檻』に感心した記憶あります。
投稿: みやこ | 2010年2月20日 (土) 23時54分
>みやこさん
私もあらためて『晴読雨読日記』(75ページ)を読みなおしてみました。
「へそ曲りの私にしては珍しいベタホメだが、その理由は読めば納得していただけるはずである」
その通りです。
今となっては、もう、彼(岸本)とこの本のことを話せなくなってしまった……残念です。
投稿: やまおじさん | 2010年2月21日 (日) 18時38分
図書館にあったので借りて、一晩で読みましたよ!
まず、サバイバルの緊張感を刺激されました。それから、家族の関係というものも原初にさかのぼって考えたくなりますね。岸本完司評に「山の霊気」とありましたが、日本人の山岳信仰とかマタギについても考えたくなりますね。
ラテンアメリカ文学の味わいも感じました。
投稿: みやこ | 2010年2月25日 (木) 08時54分
>みやこさん
私は一週間かかって読みおえました。
「サバイバル」「ラテン文学の味わい」同感です。
マタギの世界には、私も興味をもっています。
「山の霊気」を感じることが少なくなりましたが、『山妣』に描かれているこういう世界が、今もあるのでしょうね。
投稿: やまおじさん | 2010年2月25日 (木) 21時55分