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2010年3月19日 (金)

【読】あの戦争(続)

今日、ようやく読みおえたので、もうすこし書いておこう。

Katou_kingendaishi『戦争の日本近現代史』
 加藤陽子 著
 講談社現代新書 2002/3/20発行
 293ページ 720円(税別)

いい勉強になった。
加藤陽子氏について、ネットでは毀誉褒貶さまざまな評価がみられるけれど、私は信頼できる学者さんだと思う。
好き嫌いはべつとして。

明治維新から、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、そして、満州事変、日中戦争、太平洋戦争と、戦争にあけくれた時代。
その歴史のうねりが、私のなかでぼんやりとしたイメージではあるが、わかったような気になる、そんな一冊だった。

この本のエッセンスと思える部分を、抜粋しておこう。


― 巻頭 シラバス(syllabus=講義要目)より ―

<基本的には、明治維新から太平洋戦争までの時期を対象として、近代日本と戦争について、わたkしの考えてきたことを述べますが、この本(講義)は、研究書を水割りしたような概説ではありません。近い過去を分析対象とする近代史では、対象をどのような視角でとらえるかが、とても大切です。よって、本書では、日清戦争からあとは、十年ごとに戦争をしていた観のある近代日本を歴史的に考えるために、戦争にいたる過程で、為政者や国民が世界情勢と日本の関係をどのようにとらえ、どのような論理の道筋で戦争を受けとめていったのか、その論理の変遷を追ってみるというアプローチをとります。>  (P.8 講義の内容)



― 目次より ―

第一講 「戦争」を学ぶ意味は何か
第二講 軍備拡張論はいかにして受け入れられたか
第三講 日本にとって朝鮮半島はなぜ重要だったか
第四講 利益線論はいかにして誕生したか
第五講 なぜ清は「改革を拒絶する国」とされたのか
第六講 なぜロシアは「文明の敵」とされたのか
第七講 第一次世界大戦が日本に与えた真の衝撃とは何か
第八講 なぜ満州事変は起こされたのか
第九講 なぜ日中・太平洋戦争へと拡大したのか
あとがき


― あとがきより ―

<……現代新書への執筆を、……勧められたとき、わたくしの念頭にあったのは、山口定(やすし)氏の言葉でした。それは、「二度と戦争は起こさない」という誓いが何回繰り返されても、今後起こりうる悲劇の想定に際して、起こりうる戦争の形態変化を考えに入れた問題の解明がなくては、その誓いは実行されないのではないか、といった内容でした(「戦争責任・戦後責任」)。
 戦争責任について容易に論ずれば、「誠実を装つた感傷主義か、鈍感な愚しさか、それとも威張りちらした居直りか」になってしまうと喝破したのは丸谷才一氏でしたが(「雁のたより」)、この山口氏の静かなる提言は、たしかにわたくしの心に届きました。感傷主義でもなく、居直りでもなく、戦争や戦争責任を論ずることができるのではないか、と。>

<日本の近現代史をながめてみただけでも、新しく起こされる戦争というのは、以前の戦争の地点からは、まったく予想もつかない論法で正当化され、合理化されてきたことがわかります。そして、個々の戦争を検討すると、社会を構成する人々の認識が、がらりと変わる瞬間がたしかにあり、また、その深いところでの変化が、現在からすればいかに荒唐無稽にみえようとも、やはりそれは一種の論理や観念を媒介としてなされたものであったことは争えないのです。> (P.291-292)

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