【読】あの戦争
船戸与一の 『新・雨月』 に続き、幕末から明治にかけての戊辰戦争にまつわる本を二冊読んだあと、こんな本を読んでいる。
だいぶん前に、大型古書店(ブックセンターいとう)でみつけたもの。『戦争の日本近現代史』
加藤陽子 著
講談社現代新書 2002/3/20発行
293ページ 720円(税別)
著者は、歴史学者(大学の先生)。
1960年生まれ、東大大学院博士課程修了(国史学)、東大で教鞭をとるバリバリの学者さんだが、その著書を読むと、信頼できる人だと思える。
岩波新書に、『シリーズ日本近現代史』(全10巻)というシリーズものがあり、その第五巻の著者もこの人だ。
まだ読んでいないが、てもとにある。
もう一冊、これはたまたま新刊書店の店頭でみかけたのだが、同じテーマで高校生向けに書かれた 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 という本が興味ぶかい。
これも、てもとにあるので、次に読んでみたいと思う。『満州事変から日中戦争へ』
シリーズ日本近現代史 5
加藤陽子 著
岩波新書 2007年
242ページ 780円(税別)
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
加藤陽子 著
朝日新聞社 2009年
414ページ 1700円(税別)
ここ数年来、私の関心は、「近代国家」 となった日本がどうしてあれほど戦争ばかりしていたのか(せざるを得なかったのか)というところにある。
『戦争の日本近現代史』 のなかで、加藤さんはこう言っている。
<為政者や国民が、いかなる歴史的経緯と論理の筋道によって、「だから戦争にうったえなければならない」、あるいは、「だから戦争はやむをえない」という感覚までをも、もつようになったのか、そういった国民の視覚や観点や感覚をかたちづくった論理とは何なのか、という切り口から、日本の近代を振り返ってみようというのが、本書(講義)の主題……> (P.8-9 歴史には「出来事」のほかに「問い」がある)
<歴史には「出来事=事件」のほかに「問題=問い」がある>というのが加藤さんの考え方の基本で、そのような視点から「あの戦争」に至る経緯を詳細に検証しているのが、この本だ。
(こんな紹介のしかたでは、著者の意図をうまく伝えられているかどうか、心もとないが)
<ある一つの戦争が、講和条約の締結によって人々の記憶から忘れられたり、次の戦争がまたゼロの地点から始ったりする、などということは、およそ日本においては考えられないことでした。一つの戦争は、次の戦争とさまざまなかたちで結びつけられました。……>
<いわば、戦争で戦争を語る、戦争で戦争を説明するという行為が、自然に日常的になされていたのが、戦前期までの日本社会であったといえるでしょう。このような社会を前提とするとき、太平洋戦争だけを取りあげて、「なぜ、日本は負ける戦争をしたのか」との問いを掲げてみても、「正しい問い方」をしたことにはならないのではないでしょうか。近代の歴史のなかで、何度も繰り返されてきた一つひとつの戦争に対して、「なぜ、戦争になったのか」との問いを反復的に設定して初めて、戦争の相互性のなかで、戦争をとらえることが可能になると……> (P.19-20 戦争をうけとめる論理)
難しい本ではあるが、刺激的で、おもしろい。
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