【読】星野さんとジェーン・グドール(続)
星野道夫さんの大型写真集を図書館から借りることができた。
『GOMBE ゴンベ』
星野道夫
メディアファクトリー 1997/9/30発行
143ページ 5700円(税別)
高価な本で、すでに絶版。
先日再読した、『アフリカ旅日記』(1999年発行)のベースになった写真集だ。
星野さんの文章は、『アフリカ旅日記』とほぼ同じだが、縦33.5cm×横27cmの大型なので、写真に迫力がある。
星野さんは1996年8月に亡くなっているから、没後に発行された写真集ということになる。
巻末に、ジェーン・グドール、ミヒャエル・ノイゲバウアー、青木久子さんの追悼文が掲載されている。
ミヒャエル・バウアーは、星野さんといっしょにゴンベの旅をした出版人。ジェーンと星野さんの共通の友人。
青木久子さんもジェーンの友人で、星野さんを彼女に紹介した人らしい。
星野さんのゴンベでの様子を、ジェーンはこう書いている。
星野さんの人がらがしのばれる、いい話だ。
<ミチオがチンパンジーの写真を撮るのを見ているのが、私のいちばんの楽しみだった。ミチオがそこにいるだけで、辺りは穏やかで優しい雰囲気に包まれた。チンパンジーはミチオのそばでは、いつもリラックスしていた。こんなことは、あまりない。動きの激しい人や声の大きな訪問者がいると、チンパンジーは緊張する。なによりもミチオは、チンパンジーに敬意を表し、そのことを彼らは直感でわかっていたのだ。>
また、追悼文の最後にはこう書いている。
星野さんは、このように誰からも好かれていたのだ。
<どんな場合でも、人生の真っ只中に起こる予期せぬ突然の死は、残された者に大きなショックを与える。ミチオの死を、私はまったく信じられない思いで聴いた。彼はあまりにも生きる喜びにあふれていた。彼の魂は、大自然の美、特にアラスカに魅せられていた。ミチオが地球上で過ごす時間を奪ったのが、アラスカのクマでなくてよかった。そのことが、せめてもの慰めになった。クマはミチオの肉体を傷つけはしたが、魂までは奪えなかったはずだ。いつの日か、アラスカへ行ったなら、そこでミチオの存在を強く感じるだろうと信じている。そして、ほんのわずかでも彼の魂がゴンベにも残っていると思いたい。ミチオは、いつか再びゴンベでチンパンジーと一緒に過ごしたい、写真も撮りたいと語っていたので。>
― ジェーン・グドール 「ミチオがそこにいるだけで」 ―
星野道夫 『GOMBE』 より
ジェーン・グドールのポートレート
ジェーン・グドール(Jane Goodall)
1934年、ロンドンに生まれる。高校卒業後、事務職等を経て、1960年、単身タンザニアのゴンベ・ストリーム動物保護区(現国立公園)でチンパンジーの観察を始める。1965年、行動学で博士号取得(ケンブリッジ大学)。1977年、野生生物の生態研究、自然保護、動物愛護、啓蒙等の活動拠点としてジェーン・グドール研究所を設立。
「野生チンパンジーの世界」(ミネルヴァ書房) 「森の隣人――チンパンジーと私」(朝日選書) 「心の窓――チンパンジーとの三〇年」(どうぶつ社) 「チンパンジーの森へ」(地人書館) ― 『GOMBE』 より ―
二日まえから読みはじめた、ジェーン・グドールの自伝がとてもいい。
まだ三分の一まで読んだところだが、いずれ感想を書いてみたい。
『森の旅人 REASON FOR HOPE』
ジェーン・グドール
メディアファクトリー 2000年
原題の REASON FOR HOPEは、「希望をもつ理由」とでもいおうか。
古生物学者・文化人類学者 ルイス・リーキーと出会い、アフリカのオルドバイ峡谷で化石発掘を手伝ったことが、その後のジェーンの人生を決定づけたことを、この本で知った。
ルイス・リーキーの名前と業績を、今年にはいって読んだ本だ知っていたので、うれしくなった。
ジェーン・グドールという、すでに「おばあちゃん」といっていい年齢の魅力的な女性が、ますます好きになってきた。
【参考】
― Wikipediaより ―
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%BC
ルイス・リーキー
ルイス・シーモア・バゼット・リーキー(Louis Seymour Bazett Leakey,1903年8月7日-1972年11月1日)はケニヤの古人類学者。アフリカにおける人類の進化の解明に大きな貢献をした。またアフリカでの研究と自然保護のための組織の創設に中心的な役割を果たした。古人類学と霊長類学の次の世代の研究者を育てた。自然科学者としてリーキーはチャールズ・ダーウィンの見解を強く支持し、人類はアフリカで進化したと言うダーウィンの仮説を証明しようと試みた。
リーキーの天使
リーキーのもっとも大きな遺産の一つは霊長類を自然の生息地で観察するフィールドワーク研究を促したことである。彼は人類の進化の謎を解く近道であると考えていた。リーキーは個人的に三人の女性、ジェーン・グドール、ダイアン・フォッシー、ビルーテ・ガルディカスを選んだ。彼女らはそれぞれチンパンジー、ゴリラ、オランウータン研究の重要な研究者となり、「リーキーの天使」とあだ名された。
― e-honサイトより ―
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000018837007&Action_id=121&Sza_id=F4
彼女たちの類人猿 グドール,フォッシー,ガルディカス
20世紀メモリアル
サイ・モンゴメリー/著 羽田節子/訳
出版社名 平凡社
出版年月 1993年6月
ISBNコード 978-4-582-37324-0
(4-582-37324-0)
税込価格 2,854円
頁数・縦 381P 20cm
■商品の内容
[要旨]
忍耐と孤独の果てにようやくかちえた動物の信頼―。それこそ彼女たちの望みであり、すべての始まりだった。野生のチンパンジー、ゴリラ、オランウータンの生態研究に生涯を捧げる3人の女性動物学者の苦闘と喜び。
[目次]
第1部 保護者(ビルーテ・ガルディカスとスピナー;ジェーン・グドールとフロ;ダイアン・フォッシーとディジット);第2部 科学者(信念の人ルイス・リーキー;“大文字のSのついたサイエンス”;ニイラマチャベリのいけにえ;忍耐の研究);第3部 戦士(聖戦士―ジェーン・グドールの道徳的ジレンマ;魔女―ダイアン・フォッシーの狂気;外交官―ビルーテ・ガルディカスの政治)
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コメント
読んでみたくなりました。図書館で探してみますね。このところチカップ美恵子さんに赤坂憲雄さんに船戸与一さん「河畔に標なく」「金門島流離譚」などなど読んでいました。船戸さんから資本主義否定のメッセージを受け取り、チカップさんからは拝金主義社会を変える、文化の価値感を教えてもらったような気がします。わたしもアイヌの民族衣装を着たくなりました。
菜種梅雨が終わって、早く春うららの日がきてほしいですね。
投稿: みやこ | 2010年3月29日 (月) 09時47分
>みやこさん
ついに、船戸ワールドに足を踏み入れましたね。
「金門島流離譚」、私はまだ読んでいません。
ジェーン・グドールの本、おすすめします。
アイヌ民族衣装、いいですね。
チカップ美恵子さんの本は、私も、もっと読んでみたいと思っています。
投稿: やまおじさん | 2010年3月29日 (月) 21時27分
『GOMBEゴンベ』とても読みたかった本です。良い本がたくさん絶版になっていますね。星野さんがもしまだ生きていたら、アフリカではどんな活動をされたのだろうか、どんな写真を取られたのだろうか、と思いを巡らせています。
投稿: ETCマンツーマン英会話 | 2011年10月26日 (水) 23時02分
>ETCマンツーマン英会話 さま
コメント、ありがとうございます。
リンク先の記事、拝見しました。
ジェーン・グドールさんの講演の動画、興味ぶかいですね。
投稿: やまおじさん | 2011年10月27日 (木) 08時50分