【読】希望をもつ理由
REASON FOR HOPE
――A SPIRITUAL JOURNEY
by Jane Goodall with Philip Berman, 1999
この本の原題だ。
「希望をもつ理由」「魂の旅」――読みおえて、なるほどと思った。
邦題 『森の旅人』
ジェーン・グドール/フィリップ・バーマン 著
上野圭一 訳 松沢哲郎 監訳
角川書店 2000年発行
半生をチンパンジーとともに過ごした世界的霊長類学者、ジェーン・グドールの魂の遍歴――キャッチコピーふうにまとめると、こういう本だ。
幼い頃、イギリスでドイツ軍の空襲を体験し、ナチスを憎み、結婚、離婚、出産を経験し、癌で二度目の夫と死別して絶望を味わい、チンパンジーの社会にもある殺し合いを目にして心を痛め、人類の行く末に絶望し――それでも、未来に希望をもって生きる。
強い人だ。
その強さはどからくるのか。
幼い頃からの信仰、キリスト教的倫理観。
科学者の冷静で論理的な思考。
たぐいまれな忍耐力。
そして、なによりも、この人はあらゆる生きものが好きなのだ。
まったく頭がさがる。
私は、この人ほど未来に希望がもてないが、勇気づけられる一冊だった。
たくさんの人たち、とくに、人類の将来をになう若い人たちに読んでほしい、と思う。
<本書は……二度の結婚生活とその破局や死別をはじめ、プライベートな側面も率直に記すことによって、たましいの旅路を淡々と描いた、著者のはじめての本格的な自伝である。> (訳者あとがき:上野圭一)
<本書では、あかんぼうのときの記憶にさかのぼって、生い立ち、青春時代が綴られている。多くの人が経験するような、初恋や、激しく人を想う恋があったことも吐露している。……>
<……本書には、宗教・哲学・詩という三つの要素が色濃い。人間ならだれでもが、生来、ナチュラリストとしての資質をもって生れてくるのかもしれない。その魂が、暖かい母子の絆とキリスト教的倫理観に育まれ、アフリカの森や自然に触れて、さらに深く普遍的なものになった。…・・> (解説:松沢哲郎)
さて、続いて読んでいる本がこれ。『人類進化の700万年』
― 書き換えられる「ヒトの起源」 ―
三井 誠 著
講談社現代新書 2005年発行
新聞社勤務のジャーナリストだけあって、読みやすく、学者がおちいりがちな偏狭な視点にたつことなく、興味ぶかく人類進化の歴史が書かれている。
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