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2010年5月 5日 (水)

【読】読了 「婆のいざない」

休みのあいだに、少しずつ読みすすめて、本日読了。
うまく紹介できないが、いちおう記録として書いておこうと思う。


Akasaka_baba_izanai_2赤坂憲雄 『婆のいざない』
 柏書房 2010/3/25 269ページ
 2500円(税別)

赤坂さんって、こんなまわりくどい文章を書く人だったっけ、と思うほどひっかかる言葉づかいが多くて気になったが、熱い想いは伝わってきた。
著者がいっしょうけんめい訴えようとしていることが、びんびん伝わってくるのだ。
「熱い想いがこめられた著作」 である。

それにしても、不思議な本だ。
著者じしん、あとがきに書いている。

<とても不思議な本ができあがった気がする。どこか、我ながら暗示的ではある。わたしはいま、大きな転換期を迎えており、それが思いがけず色濃く刻印された著作になっている。十八年間にわたる北の旅の終わりが、はからずも影を落としているのである。……> (本書 あとがき P.268)

冒頭、東北の婆(ばば)から著者が聞いた不思議な話が紹介されている。
書名 「婆のいざない」 はその逸話からきている。


<それはとても不思議な体験だったのです。三十代のはじめでした。いまだ、わたしは民俗学のとば口にも立っていません。なにしろ『遠野物語』を読みはじめたばかりだったのです。……それがいきなり、わけもわからず聞き書きの現場に投げ込まれたのです。うまくゆくはずがありません。惨めに追いつめられたわたしに、土壇場で手を差しのべてくれた女(ひと)がいました。まだ六十代ではなかったか、と思います。それでも、まさしく東北の婆のひとりではありました。そのひとはとても思いつめた顔をして、いきなりしゃべりはじめたのでした。忘れようはずがありません。衝撃でした。

おれは河童を見たことがある。若いころのことだ。夕方だったよ。裏の畑に、河童が立っていたんだ。河童はキュウリをくわえて、パンツ一丁だったな。うん、あれは、隣りのアンチャだった。>

(本書 序章 「婆は河童を見た、という」 はじめての聞き書きの晩に P.10)


全体を要約、紹介する力量が私にはないので(いつもそうだ)、目次を紹介しておこう。

序章  婆は河童を見た、という
第一章 イザベラ・バードが見た東北
第二章 東北の原風景とはなにか
第三章 人と自然――共生の思想をもとめて
第四章 差別の民俗史のために
第五章 田植え踊りはどこから来たか
第六章 旅と世間、そして道行きの文化
第七章 東北学から地域学へ
第八章 排除のいま、定住のおわりに
あとがき


イザベラ・バード、菅江真澄、宮澤賢治、柳田国男、折口信夫らの著作を引用しながら、著者が東北の地で考え続けた思想が縦横に語られる。

当初、講演集として編集するつもりだったらしいが、「かつて、どこかでやった講演の起こしなどを十数本並べて、手を入れて」 いくうちに、講演集でもなく論文集でもない本書ができあがったという(あとがき)。

たくさんの刺激を私に与えてくれた一冊だった。


同時期に出版された、『旅学的な文体』 (五柳書院) にも惹かれる。
読んでみようかな。

e-honサイト
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032396162&Action_id=121&Sza_id=C0

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