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2010年5月16日 (日)

【楽】休日の昼さがりに聴く八重山民謡(安里勇)

ひさしぶりに、こんなCDをひっぱりだして聴いている。
ゆったりとした八重山民謡を聴いていると、こころがなごむ。

ぶ厚いブックレットには、藤原新也、池澤夏樹、そして、写真家の星野道夫さんが寄せた文章がある。
おそらく星野道夫さんの絶筆原稿となるものだろう。

<星野道夫さんがカムチャッカでヒグマに襲われて亡くなったのは八月八日のことでした。この原稿は亡くなる数日前、カムチャッカで出会った日本人に託されたものでした。安里勇の「海人」のライナーノートに原稿を書いて下さいとアラスカに電話したのが六月のことでした。三村淳さんに連れられて沖縄の海に出会ってから、誰よりも安里勇のCDを楽しみにしていた星野さんにこのCDを届けられなかったのが残念です。この原稿が星野さんの絶筆となりました。原稿のタイトルは星野さんの原稿から引用したものです。>


身近な自然、遠い自然  星野道夫

 初めて沖縄の竹富島に行ったときの思い出は忘れられない。アラスカで暮らしているぼくにとって、それは日本の自然がもつ美しさを再確認させてくれる旅だった。東京から飛行機で南へ飛び続けた距離感にも驚いたが、もし船を使ったなら、きっとさらに沖縄の本当の位置を感じ得ただろう。北海道の子どもたちは、修学旅行で京都や奈良など行かずに、真冬に沖縄の海へ泳ぎに行くべきだ。自分が今暮らしている場所を、はっきりと認識するに違いない。それは、小さいけれども、南北に細長いこの国が内包する、自然と人の暮らしの多様性のすばらしさである。
 沖縄に立った最初の印象は、自分自身の原風景に出合ったような不思議な懐かしさだった。……
(中略)
 初めて沖縄の旅から戻ったとき、ぼくは安里さんの歌が忘れられず、おみやげに沖縄民謡のテープを一本買ってアラスカに持ち帰った。家の庭で畑作業をしているとき、また野営のテントの中で、沖縄の歌が実に懐かしい。極北というまったく別の世界で聞いているのに、まったく違和感がないのだった。
 安里さんが八重山民謡を中心にレコーディングをすると聞いたとき、ぼくは嬉しくて仕方がなかった。これからいつでもアラスカで安里さんの歌が聞けるのだ。そしてふと、三年前の自分の結婚式を思い出していた。パーティで安里さんが沖縄の歌をうたってくれたのである。……
(中略)
 人間には二つの大切な自然がある。日々の暮らしの中で関わる身近な自然、そしてもうひとつはなかなか行くことのできない遠い自然である。が、遠い自然は、心の中で想うだけでもいい。そこにあるというだけで、何かを想像し、気持ちが豊かになってくる。アラスカで暮らす自分にとって、沖縄はそんな世界である。そして、そこにいつも、陽焼けした安里さんが潮風に吹かれながら立っている。


Asado_uminchu_1安里 勇 (あさど・いさむ)
 海人 (ウミンチュー) ~八重山情唄~

 リスペクトレコード 2001年 RES-49
 (1996/7/8~7/12録音)
与那国ションカネー節(Instrumental)/ちんだら節~久場山越路節/真南風乙節/安里屋節/小浜節/デンサー節/古見の浦節/与那国ションカネー節/鳩間節/あがろうざ節/トゥバラーマ/トゥバラーマ(Instrumental)

Amazon
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005L8Q2


Asado_uminchu_2Asado_uminchu_3 

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コメント

先日、東川で行われている「極北の生命-星野道夫写真展」を見に行った私は、この「身近な自然、遠い自然」という文章の説得力に再び圧倒されました。彼が亡くなって14.5年にもなりますが、私にとって彼の存在の大きさは変わりません。

投稿: 玄柊 | 2010年5月18日 (火) 05時41分

>玄柊さん
星野さんの写真はこれからも受け継がれていくのでしょうね。
彼の文章もまた、魅力的です。

投稿: やまおじさん | 2010年5月18日 (火) 07時51分

ちょうど『アラスカ風のような物語』を読んでいたところです。「身近な自然、遠い自然」も絶筆として最後に載っており、沖縄の民謡を聴きたくなっていたところです。星野道夫さんの写真集と書かれたものは手元にいつまでも置いておきたい輝きがありますね。星野さんを考えながら、散歩をしていると、この季節の緑の美しさにおもわずも嘆息してしまいそうになります。 
 蛇皮線の響きとゆったりとした民謡に耳を澄ますと、遠い昔、石垣島や西表島で昆虫の採集をしていた時間がよみがえってくるようです。

投稿: みやこ | 2010年5月19日 (水) 12時06分

>みやこさん
石垣島や西表島へいらしたことがおありなんですね。
このブックレットには、池澤夏樹さんのエッセイも載っていて、南の島の魅力が描かれていました。
なにか別の時間が流れているようですね、あそこでは。
行ってみたいな、いつか。
安里勇さんのアルバムは、おすすめします。

投稿: やまおじさん | 2010年5月19日 (水) 21時17分

昨日、石垣島にある安里屋さんに行って来ました。安里勇さんは喉を悪くしているようで、2~3曲ほどしか歌いませんでしたが、その凄さ、美しさは十分伝わってきました。このアルバムは近日中に是非購入したいです!

投稿: | 2010年9月 5日 (日) 15時45分

「安里屋」というお店があるのですね。
http://homepage2.nifty.com/asadoya/

いいですねぇ。
石垣島…いつか訪ねてみたい島です。

投稿: やまおじさん | 2010年9月 5日 (日) 19時38分

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