【山】【読】ヒマラヤ
このところ山岳関係の本に関心が向いて、読み続けているような気がする。
近くの図書館にあった児童書。古原和美 (こはら・かずよし)
『ヒマラヤの旅 未知をたずねて』
理論社 1978年・改装版
172ページ 1200円
(初版 1963年)
かなり古めかしい本だが、なかなかおもしろかった。
著者の名前から私は勝手に女性だと思っていたが、男性医師で、ネット検索してみると、いまは長野県山岳協会の名誉会長をなさっている方らしい。
長野県山岳協会公式Web > 役員名簿
http://www.nmaj.org/toppict/
1958年3月から6月にかけて、深田久弥氏を隊長とし、山川勇一郎氏(山岳画家)、風見武秀氏(山岳写真家)、古原和美氏(医師)というわずか四人の登山隊(探検隊)による、ジュガール・ヒマールとランタン・ヒマール地方(ネパールとチベットの国境、チョモランマとマナスルのあいだ)の探検記である。
当時のことだから、シェルパとポーターを多数雇っての、いわゆる極地法による登山だ。
(ピーク・ハンティングが目的ではなく、調査が主体)
残念なことに、カバー写真以外は、ぼやけたモノクロ写真(印刷がよくない)ではあるが、ややマイナーなこの地方(それでも7000メートル級の山岳が連なる)の様子がよくわかる。
ヒマラヤが今ほどポピュラーではなかった時代の苦労がしのばれる。
―― あとがき より ――
<わたしは、中学時代から一貫して山登りが好きだったのですが、1958年、ついに、あこがれのヒマラヤ探検を実現することができました。この旅を終わって、わたしは、少年時代からの夢は、けっきょく実現できるものだ――という深い感慨をいだくのです。そして、多くの少年少女たちに、夢をだいじに育てましょう――と語りかけたい気持です。/しかし、わたし自身の夢も、まだ終わったわけではありません。/1964年第二回ヒマラヤ探検をくわだて全日本山岳連盟ヒマラヤ登山隊長として、再びネパール・ヒマラヤに向い、4月10日、11日の二回にわたり、ギャチュン・カン[7922メートル]の初登頂に成功しました。……>
そうか。
あのギャチュン・カン(山野井泰史さん夫妻がたった二人で北壁に挑み、かろうじて生還した山)の、ノーマル・ルートによる初登が、この古原さんを隊長とするパーティーだったんだ。
それにしても、児童書コーナーに置かれていた、見映えのしない古めかしいこの本。
いまの「少年少女たち」が手にすることは、はたしてあるのだろうか?
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