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2010年6月 1日 (火)

【山】【読】山野井泰史さんの本を読む

平日には新聞をほとんど読まない(開くことすらめったにない)。
だが、毎日欠かさず読んでいるのが、東京新聞朝刊最終面の「氷山の南」(池澤夏樹さんの連載小説、今日で267回)と、夕刊一面に連載されはじめた山野井泰史さんの「この道」(今日で23回)の二つだ。

池澤夏樹さんの小説は、いよいよ佳境にはいって面白い。
主人公の青年(アイヌ民族の末裔という設定)が、南極から巨大な氷山を曳航する船からおりて、いまちょうどオーストラリア大陸で先住民「アボリジニ」の青年、老人と交流しているところだ。

山野井泰史さんの連載エッセイ(インタビューによる聞き書きかもしれない)の方も、山登りが好きな私には、たまらない内容。
山野井さんのことはほとんど知らなかったが、卓越したクライミングを続けている人だ。
1965年生まれ。
十代なかばから、社会人山岳会にはいって尖鋭的なクライミングを続けている「世界的な」クライマー。
夫人の妙子さんも一流クライマーだ。

山野井さん自身が書いた本があり、市の図書館に置いてあったので、日曜日に借りてきた。
私にしてはハイ・スピードの二日とちょっとで、今日読みおえた。

Yamanoi_iwatoyuki_1山野井泰史 『垂直の記憶 岩と雪の7章』
 山と渓谷社 2004年刊
 244ページ 1500円(税別)

図書館から借りてきた――予約して待つのもまだるっこしく、すぐに読みたかったのもあって、少し距離のある分室まで出向いた――この本には「寄贈本」のゴム印が押されていたが、まったく読まれた形跡がなかった。
しおり紐が折られたまま、まんなかあたりのページに挟まれていたから、たぶん誰も借りたことがないようなのだ。
まるで買ったばかりの新本を読むようで、気分がよかった。

巻頭のカラー写真がきれいだ。
七つの山行記録だが、その苛酷なクライミングに驚いた。
誰もやったことのない登攀に常に挑戦しながら、これ見よがしなところがいっさいなく、謙虚で、人間的にも好きになれそうな印象をうけた。
最終章(第7章) 「生還 ギャチュン・カン北壁」 に圧倒される。
妙子夫人とふたりで、2002年にチベットのギャチュン・カン(7952メートル)北壁に挑んだ登攀記。
下山途中で雪崩にあい、夫人ともども九死に一生を得るものの、ひどい凍傷にかかって手足の指を何本も切断することになる。


もう一冊、この山野井さんのギャチュン・カン登攀をテーマにしたノンフィクションが、やはり図書館にあると知ったので(これはすぐ近くの地域館=喜平図書館)、やはり日曜日に借りてきた。
明日から読みはじめよう。

Sawaki_tou沢木耕太郎 『凍(とう)』
 新潮社 2005年刊
 300ページ 1600円(税別)

こちらの本は、これまでたくさんの人に読まれているようで、さすが、人気作家の本だ。
沢木耕太郎さんらしい題名がつけられている。
この本は、「新潮」2005年8月号掲載の「百の谷、雪の嶺」を改題したもの。
「あとがき」で、沢木さんはこう書いている。

<私には珍しく、この作品は雑誌に掲載する直前までタイトルに悩んだ。「百の谷、雪の嶺」にするか、「凍」にするか。迷った末に、ギャチュンカンそのものを意味する「百の谷、雪の嶺」を選んだ。/しかし、それを書き終えた直後、ポタラ峰北壁に再度挑戦している山野井泰史に会うため、炎熱下の中国をバスで移動しつづけているうちに、あれはやはり「凍」だったのではないかと思うようになった。あの世界を構成しているのは、ギャチュンカンという山と、その北壁に挑んだ山野井泰史と妙子の両者であり、その全体を包み込む言葉としては「凍」以上のものはないのではないか。「凍」と書いて「とう」と読ませるのはかなり強引だが、……>

楽しみな本だ。
沢木耕太郎さんの本は、若い頃、夢中になって読んだ時期があったが、その後しばらく遠ざかっていた。
この人の書く文章(文体)は、とても好きなのだ。

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