【読】船戸与一 「藪枯らし純次」
日曜の夜から夢中になって読み続けていた小説がこれ。
タイトルから「木枯らし紋次郎」を連想してしまったのだが、なかなか奥の深い物語だった。船戸与一 『藪枯らし純次』
徳間書店 2008年発行
621ページ 2100円(税別)
― 帯より ―
伝奇ハードボイルド巨編!
鄙びた山奥の温泉郷。疲弊した地方けいざいのひずみがもたらしたものは?
官能的な旋律が村に響くとき、血腥い事件が連続発生する。
歴史の闇に葬られた幕末・維新の因縁が、いま甦る!
伝奇的な謎解きのおもしろさがあり、最後まで「いったいどうなるんだろう?」と、わくわくしながら読んでいた。
結末にはちょっともの足りなさを感じたけれど、傑作だ。
「藪枯らし純次」とは、この物語の中心人物。ワルだが、魅力的な男だ。
「藪枯らし」……ブドウ科の多年生蔓草。路傍・空地などに生える雑草。ふたまたになった巻きひげで、樹木に巻きついて生い茂り、それを枯らす。繁殖力が旺盛で、藪まで枯らしてしまうことから、この名がついた。別名・ビンボウカズラ。
幕末・維新の秘話がじゅうぶんに描かれていないことが不満だが、この後の作品である 『満州国演義』 『新・雨月』 につながる世界を、この小説に垣間見た。
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