【読】五木寛之 選評集(続)
五木寛之さんの近刊(選評集)の興味のあるところを拾い読みしていたら、宮部みゆきさんの直木賞受賞作 「理由」 の選評があり、うれしくなった。
べたほめである。五木寛之 『僕が出会った作家と作品』 五木寛之選評集
東京書籍 2010/9/7発行
691ページ 1500円(税別)
直木三十五賞 第120回 [1999年1月]
理由 宮部みゆき
選考者
阿刀田高、五木寛之、井上ひさし、黒岩重吾、田辺聖子、津本陽、平岩弓枝、渡辺淳一
(本書 P.145-146 より)
「理由」を推す理由 五木寛之
<第百二十回の直木賞の受賞作は、すっきりと「理由」にきまった。すでに宮部さんのこの作品は、発表当初から世評の高かった秀作で、今回の受賞も当然のことのような印象がある。/「理由」は、新聞に連載された長篇だが、単行本として読んでいると、新聞小説という枠組みや制限をほとんど感じさせない重厚で奥行きのある作品に仕上がっている。作者のこの作品に対する取組みかたが、なみなみならぬものであることがうかがえて、大きな充足感をおぼえさせられた。/ミステリーは、すでに小説の一形式の域を超えて、現代小説のフォーマットとなっていると言っていい。宮部さんは、人間を社会に生きる存在として克明に描くという、小説の王道を臆することなくたどりながら、そのなかに人間の内面を鮮やかに彫りおこすミステリーを創りあげることに成功した。……>
宮部作品の真髄とでも呼びたい魅力を、的確に評していると思う。
「人間を社会に生きる存在として克明に描く」 ことが宮部作品の基調、という指摘はもっともである。
それが 「小説の王道」 という。 五木さんの小説観なのだろう。
同感。
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