【読】こんなニッポンがあった
こんなニッポンがあったことを、あなたは知っていますか?
こんなニッポンがあったことを、あなたは信じられますか?
――というキャッチフレーズの二冊と、もう一冊。
このところ、こんな本を読んでいる。
西牟田 靖 『僕の見た「大日本帝国」』
― 教わらなかった歴史と出会う旅 ―
情報センター出版局 2005年2月25日発行
402ページ 1600円(税別)
― カバーより ―
サハリン(樺太)の南半分、台湾、韓国、北朝鮮、ミクロネシア(旧南洋諸島)、それにくわえて中国東北部(旧満州)。/明治の半ばから昭和二十年の終戦前後までの時代、それらの国・地域は「大日本帝国」と称していた日本の統治下に置かれていたという共通項を持つ。/……僕は、大日本帝国の領土だった各地に「日本の足あと」を探す旅を始めた――。
よくもここまで歩きまわったものだと思う。
著者の行動力と偏見のない姿勢、現地の人々とのごく自然な交流に、頭がさがる。
西牟田 靖 『写真で読む 僕の見た「大日本帝国」』
情報センター出版局 2006年2月26日発行
241ページ 1600円(税別)
上の著作の姉妹編。
写真が豊富(400点以上)で、著者が訪れた国・地域の歴史背景についてもよく調べて書かれている。
その意味ではとても勉強になる。
この二冊、ひさびさに出会ったヒット作。
著者の立場は「右」にも「左」にも偏らず、じつに自然体で好感がもてる。
内容を詳しく紹介できないが、図書館にあると思うので興味をもたれた方は内容をご覧いただきたい。
私は大型古書店でみつけて、安く入手した。
岸本葉子 『禁じられた島へ 国後・色丹の旅』
凱風社 1992年4月30日発行
205ページ 1340円(税別)
著者についてはよく知らないが、これも好感のもてる本。
北海道のすぐ東にある国後島、色丹島がサハリン州(旧ソ連、現ロシア)に属するというのが私には驚きだったが、考えてみるとそうかもしれない。
もちろん、「北方四島」は歴史的には日本の「領土」といえる。
だから、日本政府はこれらの島々に渡るビザを発行しない。
著者も、サハリンまでのビザしか取れず、国後・色丹にはソ連(当時)で申請し、サハリンから国後までは飛行機、国後から色丹まではヘリコプターで渡る。
残留日本人とその子孫を訪ねる旅である。
これらの島々に、現在どのような人々がどのように暮らしているのか、それがよくわかる好著だ。
同じ著者の 『さよならニナーダ』(凱風社・1991年) というサハリン訪問記もあり、機会があれば読んでみたいと思う。
この人の本も、図書館にたくさん置いてあった。
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コメント
玄柊さんの「サハリン島」を読んで、あこがれているところです。廃工場跡とか、時間を感じさせられそうな場所・・・。
この夏、瀬戸内海の犬島で野外公演『台湾の、灰色の牛が背伸びしたとき』(維新派)があったそうです。”1914年から30年、日本が実質的に植民地化した南洋群島の島々を演劇的につなぐ試み”で、写真をみると当時の時間のなかに引き込まれそうになりました
舟戸ワールドも日本の帝国主義の当時の現実を感じさせてくれますが、まだ百年もたっていないのだなあ・・・。小説って、時間を旅させてくれますね。(なんか、あたりまえの感想で、ごめんなさい)
投稿: みやこ | 2010年9月30日 (木) 16時04分
>みやこさん
サハリン、台湾、朝鮮半島、中国東北部(旧満州)、こういった地域には戦前の遺物が多いようですね。
サハリンの鳥居には驚きましたが、台湾にも古い建物が多く、西牟田さんの『写真で読む……』は興味ぶかい本です。
投稿: やまおじさん | 2010年9月30日 (木) 20時44分
やまおじさんの推薦で、以前「写真で読む・・・」を手に入れています。昨年、実際にサハリンで見たものは、その臨場感がグッと迫ってきます。我々の生まれる以前に、日本は、樺太、満州、台湾、朝鮮半島にこのような歴史を刻んできたことに驚きます。西牟田さんのこの調査力、並ではないです。
投稿: 玄柊 | 2010年10月 1日 (金) 16時18分
>玄柊さん
推薦……そんなことがありましたね。
西牟田さんは、現地ではバイクやスクーターでまわったようです。好奇心旺盛で、行動力のある人だと感心します。
サハリンの鳥居や工場跡は、ちょっと怖い遺物ですね。
風景じたいは、北海道北部の原野に似ている気がしました。
私は訪れていないので、写真を見た感想ですが。
投稿: やまおじさん | 2010年10月 1日 (金) 22時19分