【読】戦争を知りたがらない子供たち
タイトルはもちろん、有名なあのヒット曲にひっかけたもの。
「戦争を知らない子供たち」(せんそうをしらないこどもたち)は、1970年に発表された、ジローズ(第二次)のヒット曲。作詞は北山修、作曲は杉田二郎。 ― Wikipedia ―
北山修という人を私はひそかに敬愛している。
なにしろ、浅川マキの名曲「赤い橋」の作詞者でもあることだし。
しかし、この歌はいただけない。
懐かしの歌という触れこみでテレビ番組では今でもよく歌われているが、聴くたびに"ケッ"と思うのだ。
「あの戦争」のことを、もっと知ろうよ。
というわけで、サンフランシスコ講和条約調印の年に生まれた戦後世代の私ではあるが、戦争ものを読み続けている。
多田茂治 『石原吉郎「昭和」の旅』
作品社 2000年発行
279ページ 2000円(税別)
何年か前に読んで感銘を受けたはずなのに、読みかえしてみると驚くほど内容を憶えていなかった。
石原吉郎という人の生き方に、あらためて頭がさがる。
ずっと気になっていた 『望郷と海』 も、図書館から借りて読んでみた。
(この本は、残念なことに現在入手困難)
ただし、後半の 「ノート」 の部分は、読むのがつらくて投げ出した。
非常に抽象的な日記のような文章が、私には読解できなかった。
石原吉郎 『望郷と海』
ちくま文庫 1990年
329ページ 670円(税別)
[目次]
確認されない死のなかで;ある〈共生〉の経験から;ペシミストの勇気について;オギーダ;沈黙と失語;強制された日常から;終りの未知;望郷と海;弱者の正義;沈黙するための言葉;不思議な場面で立ちどまること;『邂逅』について;棒をのんだ話;肉親へあてた手紙;1956年から1958年までのノートから;1959年から1962年までのノートから;1963年以後のノートから
― e-honサイトより ―
書店で興味ぶかい本を見つけたので、さっそく買ってきて読んだ。
水島吉隆 『写真で読む昭和史 太平洋戦争』
日本経済新聞社 日経プレミアムシリーズ 071
2010年3月発行 221ページ 870円(税別)
著者は1969年生まれで、私などよりずっと若い。
1931年の「満州事変」から1945年の敗戦まで、太平洋戦争の経緯をたどったものだが、写真が豊富なせいか、リアリティーがある。
日本軍の戦略的な失敗についても冷静に指摘しているところが、私には新鮮だった。
日中戦争の泥沼から、日米開戦、緒戦のはなばなしい勝利とその後の敗退。
あの「十五年戦争」の時代、軍部だけでなく、日本全体が迷走していたとしか思えない。
もちろん、今思えば、のハナシである。
どうしてあんなことになったんだろう、というのが私がずっと思い続けていることだ。
ずっと本棚で温めていたこの本を読んでみようと思う。
なかなか手ごわそうな本ではあるが。
松本健一 『畏るべき昭和天皇』
毎日新聞社 2007年12月発行
315ページ 1600円(税別)
昭和天皇の戦争責任、ということを私も考えている。
[目次]
記憶の王;“御聖断”とは、何か;もう一つの“御聖断”;大東亜戦争と国際法;「カゴの鳥」からの脱却;天皇の「私の心」;立憲君主の激怒;「統帥権干犯」問題;天皇の戦争責任その一 近衛との確執;天皇の戦争責任その二 常なる心(コモンセンス);天皇の戦争責任その三 陸軍を迎える最後のチャンス;「天皇の国家」という意識;天皇制下の民主主義その一 敗戦前後;天皇制下の民主主義その二 外の文明を受け入れつつ;天皇制下の民主主義その三 マッカーサーを押し返す;権力の彼方へ
― e-honサイトより ―
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