【読】穐吉敏子
すこし前に、大型古書店で新書コーナーを見ていたら、気になるタイトルがあった。
「ジャズと生きる 穐吉敏子」
ひょっとして、あの秋吉敏子かなと思ったら、やはりそうだった。
「穐吉」――ほんとうは、こんな難しい漢字だったんだ。
秋吉敏子の若い頃のレコードを数枚持っているが、私はこの人の演奏が好きだ。穐吉敏子 『ジャズと生きる』
岩波新書(新赤版)467 1996年発行
230ページ 650円(税込)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004304679
この人も、「満洲」生まれだ。
― 著者略歴 より ―
穐吉(秋吉)敏子
1929年、中国東北部(旧満州)の遼陽に生まれる。46年、家族とともに大分県別府市に引き揚げた後、ジャズ・ピアニストに。48年に単身上京し、ブルー・コーツ、シックス・レモンズ等を経てコージー・カルテットを結成。56年、米国のバークリー音楽院に留学。59年、卒業。同年、チャーリー・マリアーノと結婚、一女をもうける。のち離婚。69年、現夫君ルー・タバキンと再婚。72年、ニューヨークからロスアンゼルス近郊に移住。翌73年、アキヨシ-タバキン・ビッグバンド発足。82年、ニューヨークに戻り、翌83年、トシコ・アキヨシ・ジャズ・オーケストラを結成、今日に至る。……
この本は、彼女の自伝である。
父親は、遼陽にあった満洲紡績に勤務していて、彼女は四人姉妹の末っ子として、昭和4年(1929年)に生まれている。
不自由のない生活を送り、小学一年生の時、学芸会で三年生の女生徒がモーツァルトの「トルコ行進曲」を弾くのを聞き、ピアノに魅せられて習いはじめたという。
ピアノが好きで、レッスンが楽しかったというが、戦況悪化にともないピアノどころではなくなる。
大連の高等女学校に進学。
四年生になったとき陸軍看護婦の募集が学校に来て、「お国のためになろうと思って、親の反対を押切って」応募、陸軍看護婦の訓練生活にはいったが、五ヶ月後に敗戦をむかえる。
敗戦後、着の身着のまま一家で別府に引き揚げてきたが、姉が肺浸潤を病んでいたため、別府のサナトリウムに家族ぐるみで住むようになった。
彼女は、別府の町で、「進駐軍」と呼ばれた米軍相手のダンスホールの「ピアニスト求む」の貼り紙を見て応募。
ダンスホールのピアニストになり、そこで働くうちに本格的なジャズに出会い、やがて福岡のダンス・ホールに属するバンドのピアニストとなった。十七歳のときのことだ。
――これが、ジャズ・ピアニストの道への第一歩となった。
まさに波乱万丈の生涯である。
才能と幸運に恵まれ、努力を重ねて世界的なジャズ・ミュージシャンになったこの人の自伝は、なかなか面白い。
「満州に生まれて」「戦争、そして引揚げ」「ジャズ・ピアノの世界へ――福岡で」、の三章まで読んだところだ。
このあと、単身上京して本格的なジャズ演奏の世界にはいる……。
―Wikipedia ―
秋吉敏子・穐吉敏子
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%8B%E5%90%89%E6%95%8F%E5%AD%90
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