【読】読了、吉村昭 「関東大震災」
計画停電も実施されない日が続く。
気持ちもようやく落ちついてきたので、すこしは本が読めるようになった。
吉村昭さんの『関東大震災』を読みおえた。
これまで私がなんとなく想像していたよりも、ずっとすごい事態だったと知った。
本所被服廠跡では避難してきた群衆を猛火が襲い、三万数千人が焼死した。
Wikipediaには、焼死体が累々と積み重なっている写真が掲載されているが、とても正視できない悲惨なものだ。
「朝鮮人が来襲する」というデマも、最初は風説だったものがまたたく間に拡がり、ついには警察当局や新聞社までが事実であるかのように発表、報道した。
当局はそのような事実がないことを確認し、あわてて否定したのだが、いったん広まった噂はとどまることはなく、人々は自警団を結成して、いわゆる「朝鮮人狩り」が続発した。
震災下で、みんな頭に血がのぼっていたのだが、その陰には朝鮮人に対する根強い差別意識があった。
そんな中での、憲兵隊大尉 甘粕正彦とその部下による、大杉栄、伊藤野枝、甥 橘宗一の三名の殺害事件についても、詳しく描かれている。
とにかく、今では信じられないことが次々と起きていた。
すべて史実である。
関東大震災から72年後の1995年に阪神淡路大震災を、そして、その後20年もたたないうちに、また大きな震災を経験した私たち。
この時期に、こういう書物を読んでみるのもいいと思う。
この先、そう遠くない時期に、また大きな地震がくると思う。
考えたくはないが、この地震国では、そうなっても不思議ではない。
目先の繁栄に目がくらんでいた私たちは、ここらで、じっくり地に足をつけた生き方を考え直したいと思うのだ。
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