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2011年8月 2日 (火)

【震】東京新聞連載「新日本原発紀行」

東京新聞朝刊の特集ページ、「こちら特報部」がおもしろい。
興味のある記事を切り抜いて保存していたものを、整理してみた。

東京新聞特報部では、今年(2011年)の4月30日から、「新日本原発紀行」と題して、日本各地の原発周辺を取材している。
(毎回、記名記事で、多数の記者がかかわっていると思われる)
連載は、8月1日の「浜岡原発」で、いちおう終了したようだ。
いずれ、まとめられて出版されるといいのに、と思う。

 ※この連載の5月までのぶんは、『3.11の衝撃 震災・原発――特報部は伝えた』
  (東京新聞発行、2011/6/26)に掲載されている。

<原発事故は福島第一だけの惨事とは限らない。この狭い日本列島には、ほかにも五十基近くの商業炉が立っている。残念でも恐ろしくても、それが現在の日本の姿だ。暴走すれば地域社会を滅ぼし、子々孫々に禍根を残す危険な装置は、なぜ増殖したのか。二度と悲惨な事故を繰り返さないための手だてはあるか。答えを探して全国を巡った。>
 (東京新聞 2011/4/30 「こちら特報部 新日本原発紀行 伊方(愛媛)編」)


「二度と悲惨な事故を繰り返さないための手だて」――
すべての原発を即刻停止し廃炉にもっていくこと。
計画中、着工中の原発もすべてチャラにすること。
乱暴な意見かもしれないが、まずは、そう決めること(大筋の合意をとること)。
いま、大きく舵を切らなければ、いつまでも混迷を続けるだけだろう、と思うのだが……。
これから先、気の遠くなるような、長い時間がかかるのだろうな。

それはさておき、この連載では、各地の原発が抱えている現実の問題がかなり鋭く取材され、報告されている。

参考までに、連載内容(概略)を列挙しておこう。
日付は掲載日。
原子炉の活動状況は、記事掲載時点(記事中に記載)。
「停止中」には、定期点検のための停止が含まれる。

どこも、カネのばらまきで、強引につくったものばかりだ。

 ※以下、新聞記事のポイントを私の考えで要約したものなので、文責は私にある。
  【デスクメモ】は、毎回、囲みで記者のコメントが添えられているもの。
  その一部を引用、または要約した。

■2011/4/30 伊方(愛媛)編
 (運転中2基、停止中1基)
 南海日日新聞という地方紙で、斉間満さん(2006年死去)が繰り広げた反原発活動
■2011/5/1 柏崎刈羽(新潟)編
 (運転中4基、停止中3基)
 推進派と目されている泉田裕彦 県知事と、反原発派の「原発小屋」
■2011/5/2 島根編
 (運転中1基、停止中1基、建設中1基)
 県庁所在地(松江市内)にある唯一の原発
 当時の鹿島町に圧力をかけたのは、自民党の故桜内義雄衆議院議員
 彼の兄(乾雄)は中国電力の会長まで務めた人物
 【デスクメモ】
 桜内兄弟が生みだした島根原発。
 父・幸雄氏は中国電力前身の出雲電気社長などを務め
 戦中、大蔵相など歴任した実力者だ。…
■2011/5/4 高浜(福井)編
 (運転中3基、停止中1基)
 若狭湾に面したこの原発の想定津波高は、わずか0.74~1.34メートル
 震災後に2.3メートルに引き上げられたが…
 (地震学者は4メートル超を予測)
 【デスクメモ】
 札ビラで地域の反対勢力を切り崩す「原発」の手法は、「基地」とよく似ている。
 日本の電力会社で沖縄電力だけが原発を持たないのは、この点と無縁ではないだろう。
 基地だらけで原発が入り込む余地がないのだ。
 その沖縄も小型原子炉導入を検討中といわれる。…
■2011/5/5 泊(北海道)編
 (運転中1基、調整運転中1基、停止中1基)
 北海道内唯一の原発
 地元で30年以上も海水温を測り続け、「脱原発」を訴えている斉藤武一さん
 「やっと原発を止めることのできる時が来た」
 沖合には未知の活断層も
■2011/5/8 川内(鹿児島)編
 (運転中2基)
 保守系が強い県議会の改選で、反原発を掲げる革新系新人が当選
 3号機増設は凍結
 福島の事故後、外国人観光客が激減という「風評被害」
■2011/5/9 志賀(石川)編
 (停止中2基)
 1、2号機ともにトラブル続きで停止中
 1999年6月、制御棒3本が折れ、一時臨界状態となった
 (この事故の三ヵ月後に東海村でJCO臨界事故が発生)
■2011/6/5 敦賀(福井)編
 (停止中2基)
 浜岡に次ぐ「危ない原発」の筆頭格(1号機、1970年運転開始)
 【デスクメモ】
 原発を受け入れれば電力会社からいくらでもタカれる。
 五十年、百年後に障害児が生まれるかもしれない。
 それでも、いまは受け入れた方がよい―。
 1983年の敦賀市長(当時)による講演だ。
 実際の言葉には差別語もあったが、参加住民は拍手したという。…
■2011/6/6 大間(青森)編
 (建設中1基)
 6/5開票の青森県知事選では、原子力施設の建設を進めてきた現職が三選
 東日本大震災以来、建設は中断
 対岸の函館にも不安が広がり、差し止めを求める訴訟も(大間原発訴訟の会)
■2011/6/12 玄海(佐賀)編
 (運転中2基、停止中2基)
 2、3号機の運転再開が、福島原発事故で延期
 国や玄海町などが再開に前向き
 3号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電
 周辺住民が九州電力を相手に同燃料の使用差し止めを求めて係争中
 (原告団長は佐賀市内の石丸さん、ごく普通の主婦だった)
■2011/6/19 女川(宮城)編
 (停止中3基)
 大震災で浸水などの被害を受けたが、辛うじて深刻な事故を免れ、自動停止した
 早くも運転再開の動きが出ている
 【デスクメモ】
 原子力開発の夢に燃えて東北大で学び始めた。
 だがその選択が間違いだと知る。
 東北電力は仙台ではなく、なぜ60キロ以上離れた場所に原発を造るのか。…
 「隠される原子力・核の真実」で京都大原子炉実験所の小出裕章氏の原点が
 女川だと知った。
■2011/6/20 大飯(福井)編
 (運転中2基、調整運転中1基、停止中1基)
 関西電力だけで三つの原発がある福井県
 名田庄町(現おおい町)に家族で移り住んだフォーク歌手の高石ともや
 作家の水上勉が、「高石さん、いいとこ来なさったな」と訪ねてきた
 しかし、そこに原発ができた…
 高石ともやは、次々に原発ができていく福井県で
 ♪原子の炎が燃える日は、どこにいればいいんだろう と歌った
■2011/6/27 上関(山口)編
 (計画中2基)
 原発建設予定地の海面埋め立てに必要な免許の起源を延長するかどうか
 免許交付の権限を持つ二井関成知事が、6月定例県議会で
 その判断を表明すると明言
 反対派の抗議活動や福島第一原発事故の影響で工事はほとんど進んでいない
 上関町議会は、上関原発計画白紙撤回の動議を賛成3、反対8で否決
 傍聴人から「座っている議員、恥ずかしくないのか」の怒号
■2011/7/3 美浜(福井)編
 (運転中1基、停止中2基)
 3基の老朽原子炉が立ち並ぶ
 同世代の東京電力福島第一原発と競うように、日本の原子力年表に刻まれる
 事故やトラブルをたびたび起こしてきた
■2011/7/4 もんじゅ(福井)編
 〝夢の原子炉〟のはずが、稼働すらできない高速増殖炉
 命名の由来は文殊菩薩
 「危険な施設に、御仏の名を使うとは」と、長年反対運動を続けてきた地元の住職
 (福井県小浜市の古刹、明通寺の中島哲演住職)
 「仏教者として受け入れ難い。まさにそうした人間のおごりを、ブッダの知恵と慈悲で
 克服しようとしているのに」
■2011/7/9 東海(茨城)編
 (廃炉中1基、停止中1基)
 東海村は3月の東日本大震災で震度6弱の大きな揺れに見舞われ、
 今も道路に陥没が残る
 原子力関連施設も大きな被害を受けた
 同村の西側を走る国道6号沿いには、核燃料関連事業所などが集まっている
 JCO東海事業所もそのひとつで、99年に臨界事故を起こし、操業再開を断念
 ドラム缶8千本分の低レベル放射性廃棄物や施設の管理を続けている
■2011/7/18 東通(青森)編
 東北電力(停止中1基、計画中1基)/東京電力(建設中1基、計画中1基)
 東北電力1号機は、大震災発生時に定期検査中だったが現在も再開できていない
 東京電力1号機(建設中)も工事を中断
 東通村は最果ての貧しい村だった
 村議会が地域振興の名の下に原発誘致を決議したのは、1965年
 その後、実際に原発計画が動きだしたのは、当時の竹内俊吉知事が70年に
 「原発20基を誘致する」とぶち上げたのがきっかけだった
 この頃、六ケ所村を中心とした巨大国家プロジェクトの臨海工業開発
 「むつ小川原開発」が始動したが、漁業関係者を中心に反対運動が起きる
■2011/7/31 浜岡(静岡)編(上) 8/1 浜岡(静岡)編(下)
 (廃炉中2基、停止中3基)
 菅直人首相が全面停止させてから2カ月半
 現地では「危険な街」という「風評」を懸念
 静岡県内の首長で唯一、「脱原発」を明言している湖西市長(三上元)は
 浜岡原発の地震対策の不十分さを指摘
 直下に巨大活断層が存在する可能性を指摘されているが
 中部電力は存在を認めていない

以上。
福島第二原発については、連載にとりあげられなかった。
(私の見落とし、切り抜き漏れがなければ)


2011/6/27(月) 東京新聞 朝刊 22・23面

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コメント

よくお調べになりました。そうなんです。松江はそういう原発なんです。札びらで転ばなかった祝島といえど、住民の間では推進派が2割でそれぞれの島民は口を聞かない状態が現在まで続いているそうです。ホームページでみたのですが。今回、5000人規模で集会を行うそうで、宿舎が取れませんでした。祝島も一日2便でとても不便でした。じっくり行く予定を立てないとダメですね。
 わたしは1947年生まれで秋田市内で生まれ育ちました。竿灯が有名です。私の町内からも出陣していました。今は旧町のみならず、企業も盛大に参加し豪勢になりました。秋田の実家も空家になりました。
 秋田の声、きっとカッコ良かったからでしょう。
健康問題は気になるけど、気にしたところでどうしようもないので居直りましょう。長寿を願うのではなく、いまここで生き延びること、それでいいのです。学生にはもっと難しくいうんですよ。エスノメソッドジーですと。
 かくいうわたしも時給生活。年間30万円くらい。うぬ、どうしよう。

投稿: ろくろくび | 2011年8月 3日 (水) 01時14分

島根原発のことは、鎌田慧さんの『日本の原発危険地帯』でレポートされていたのを読みました。
私のように、遠くから「脱原発」を唱えるのは簡単ですが、現地では「反対」を口にするのは難しいのでしょうね。
地方の暮らしは知っていますので、容易に想像できます。

その他、お気づかいありがとうございます。
まだまだ恵まれた生活をしていますので、感謝しなければ。

投稿: やまおじさん | 2011年8月 3日 (水) 17時30分

祝島のホームページ(上関原発建設反対)
http://www.iwaishima.jp/home/top.html

投稿: やまおじさん | 2011年8月 4日 (木) 08時39分

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