【読】【震】まったく泣けてくる――被災地自治体首長の声
アンテナは張っておくものだ。
mixiのマイミクさんの日記で知った本。
『被災地の本当の話をしよう ~陸前高田市長が綴るあの日とこれから~』
戸羽 太 著
ワニブックス【PLUS】新書 060
2011年8月発行 175ページ 760円(税別)
出版社のサイト
自分サイズの楽しい教養が満載!ワニブックス【PLUS】新書
http://www.wani-shinsho.com/
3月11日の震災で壊滅的な被害をこうむった陸前高田市の現職市長が書いたもの。
新聞・雑誌やテレビなどの報道からだけではわからなかった、被災地の現状を知る。
まだ半分ほどしか読んでいないが、復旧・復興に向けて懸命に頑張っている被災地の足を引っ張るようなことばかりしている国や中央省庁の姿勢を見ると、情けなくなる。
まったく、泣けてくるのだ。
(例1)
瓦礫処理が進まないので、市長(著者)が「陸前高田市に瓦礫処理専門のプラントを作りましょう」という提案を県に出した。――返ってきた答えは「いろいろな手続きが必要になるので、仮に建設にOKが出ても、建設開始までに2年は掛かります」というものだった。
(例2)
被災直後、ガソリンなどの燃料が全く手にはいらなかった。「さすがにこんな状況が長く続いては耐えられない、とかなり強い調子で国に対してお願いした」ところ、ガソリンが届いた。――届いたガソリンを自衛隊員が給油しようとした瞬間、「このガソリンは他の省庁から出ているものだから、自衛隊員が給油したらダメだ。運ぶところまでは認めるけど、自衛隊員にノズルを触らせてはいけない」というお達しがあった。
(例3)
市長室(仮庁舎内)で公務にあたっていると、「市長、東京からお客様です。玄関までお越しいただけますか?」との内線が。玄関に向かうと、そこにはとある国会議員がいた。――「なんでしょうか」「市長、ここで写真を撮ろう」。被害状況や復興の進捗などひとことも聞かず、市役所の看板が入るところで市長(著者)とのツーショット写真を撮ると、そのまま、まっすぐ帰って行った。
(例4)
廃墟になってしまった旧市庁舎に来ると、「ここで写真を撮りたい」と言い出し、Vサインをだしながら写真に収まる視察者もいた。
先の記事にも書いたが、国会議員すべてとは言わないが、「他人事」という感覚しか持たない政治家が多いのではないだろうか。
陸前高田市-公式ホームページ
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/
もう一冊、同じ新書シリーズを購入。
著者は、福島県飯舘村の現職村長。
『美しい村に放射能が降った ~飯舘村長・決断と覚悟の120日~』
菅野典雄 著
ワニブックス【PLUS】新書 058
2011年8月発行 205ページ 760円(税別)
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コメント
毎度です(爆)
陸前高田には5月と9月で合わせて4日間訪問しているので思い入れが強く、その関係で見つけた本です。
ちまたにはたくさんの震災関係の本が出ていて目移りしますが自分なりにテーマを絞り込んで選ぶようにしています。
投稿: こまっちゃん | 2011年9月14日 (水) 20時20分
>こまっちゃん
見逃してしまいそうな本でした。
教えてもらって、感謝です。
現場の声がストレートに聞ける本が、これからぼちぼち出てきそうですね。注目していきたいと思います。
投稿: やまおじさん | 2011年9月14日 (水) 20時27分