【読】【震】東京新聞の新連載
東京新聞の紙面が、このところ充実している。
じっくり読む時間が、なかなかとれないけれど。
今週月曜日(2011/11/7)から始まった朝刊連載小説が面白い。
「天佑なり」 幸田真音 / 村上豊 画
高橋是清を描いたもの。
幸田真音(こうだ・まいん)という作家を私は知らなかったが、この小説は、のっけから読者を引き込む。
うまい、と思う。
この人は1951年生まれというから、私と同年代だ。
― オンライン書店 e-honサイトより ―
<1951年生まれ。米国系銀行や証券会社で、債券ディーラーなどを経て、95年『小説ヘッジファンド』で作家に。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らした作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目を浴びた。テレビやラジオでも活躍。前政府税制調査会、財務省・財政制度等審議会、国土交通省・交通政策審議会の各委員など公職も歴任。10年よりNHK経営委員。>
2011/11/2(水) 東京新聞夕刊 文化欄 記事
新朝刊小説「天佑なり」連載を前に (幸田真音)
1月から続いている五木寛之 「親鸞 激動篇」(山口晃 画)の連載も、いよいよ佳境をむかえている。
(12月頃には連載が終了し、書籍化される予定らしい)
小説親鸞激動篇
http://shin-ran.jp/
ちゅーちゅーねっと|中日新聞社発行書籍のご案内のお申し込み
http://www.chu-chunet.com/book/book.html
もうひとつは、一面トップの連載記事。
日曜日(2011/11/6)から始まった、原発関連の特集だ。
レベル7 第四部 「X年」の廃炉
原発の廃炉作業の難しさを、事例をあげて示している。
・アメリカのスリーマイル島(TMI)原発では、期待されていた作業用ロボット(遠隔操作車)が全く役に立たなかった。
(TMIでは、核燃料の99%が取り出されて処理は完了したが、建屋は今も「監視保管」として封鎖されている)
・武蔵工大の研究用原子炉「武蔵工大炉」の廃炉計画書には、原子炉の解体時期が「X年度」と書かれている。
・東海村の動力試験炉(出力の小さい研究炉)の廃炉作業にすら、十年を要した。
(その途中で、多くの作業員が被曝した)
等々。
東京新聞は、原発関連の記事に鋭さがある。
詳細な調査と批判的な切り口で、私は信頼している。
事故を起こして廃炉になることが決まっている福島第一原発だけでなく、他の原発も、いずれは廃炉・解体しなければいけない。
ビルの解体工事のように、簡単にはいかない。
運転を停止しても、強い放射能が長い間消えずに残るからだ。
そういう意味で、いつ廃炉処分が完了するかという見込みは、「X年」としか言えないのだろう。
さらに、解体後の放射性汚染物質の処分を考えると、どうしても悲観的になってしまう。
それでも、「やるしかない」のだな。
そう考えると、これから新しい原発を作る計画など、もってのほかではないか。
ましてや、他国に輸出するなんて、とんでもないと思う。
今ある原発をどうするか、それだけでも困難な課題のはずだから。
ああ!その前に、福島第一原発事故後の膨大な量の放射性廃棄物の処分方法すら見通しが立っていない。
先は長いのだ。覚悟しよう。
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