【読】たかが、帯。されど
本の帯の話。
「腰巻」ともいう。
先日、近くの本屋で買った文学全集の一冊。
ハードカバーで700ページ、3600円もする分厚い本だ。
今年の6月から刊行が始まり、すでに5冊、私の手許にある。
そのシリーズの6冊目があったので買ってきたのだ。
(駅ビルにある大きな書店で買えばよかった、とは、後で思ったこと)
家に帰り、本棚に並べてみて、はじめて気づいた。
帯が、付いていない。
たかが本の帯、ではあるが、6冊並べてみるとちょっとした違和感がある。
というか、淋しい。
古本などで、よく 「帯付き、美品」 という文句も目にするではないか。
ここはやはり、帯付きで揃えたいじゃないか。
――こういう話は、本好きの人にしか通じないのだろうなぁ。悔しいものですよ。
近所なので買った店に持って行こうかとも思ったが、まずはその店に電話してみた。
店員の返事は、私には信じがたいものだったが、そういうものなのかとも思った。
つまり、「本の帯は商品に含まれないので、付いていてもいなくても同じ扱い」なのだと。
同じ本(商品)の在庫が店にあれば交換してもいいが、あいにく一冊しか入荷していないので、返品・交換は不可。
「法的にもそういうこと」なのだそうだ。
入荷時点で帯が付いていないこともあるし、痛んでしまった帯を書店で捨てることもあるという。
要するに、一度お買い上げいただいたものはどうしようもありません、という返事。
延々20分も話したが、埒があかない。
出版社に電話すれば帯だけ送ってもらえるかもしれないのでご自分で(保証はできませんが)、という話をようやく聞きだし、「そうですか」と電話を切った。
悪いことに携帯電話からかけたものだから、話している最中も電話代が気になって、まったくもう、である。
(電話代は、500円以上になっていた)
問題の本は、これ。
集英社85周年記念企画 「コレクション 戦争×文学」(戦争と文学)という、全20巻+別巻1の全集だ。
なかなか気合いのはいったもので、全巻揃えたいと思っている。
集英社「戦争×文学」
http://www.shueisha.co.jp/war-lite/top.html
刊行リスト一覧
http://www.shueisha.co.jp/war-lite/list/index.html
今月刊 「第13巻 死者たちの語り」
さて、ここから後日譚。
今日、たまたまその本屋に行く用があったので、レジであらためて事情を話し、なんとかならないものかと聞いてみた。
家族でやっているような店の店長とおぼしき人が、私の話を聞くなり、「これですか?」と、モンダイの本のスリップを見せてくれた。
先日私が長々と電話で粘った一件が、店でも話題になっていたのかもしれない。
それです、と私が答えると、すぐ取次店に電話してくれて、どうやら帯だけ取り寄せてもらえることになった。
こちらは、すっかり恐縮してしまったが、こういうサービスをしてくれる書店はありがたい、と思ったものだ。
以上、本の蒐集マニア(コレクター)っぽい話なので、呆れられそうだが。
でも、きっとわかってくれる人もいると信じて……書いてみた。
おしまい。
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