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2012年1月 3日 (火)

【読】【震】2012年、一冊目

年末年始は、ほとんど本を読めなかった。
年をまたいで、ようやく読みおえた一冊と、次に読もうとしている本。

川村 湊 著 『原発と原爆――「核」の戦後精神史』
 河出ブックス(河出書房新社) 2011/8/20
 219ページ 1300円(税別)

震災直後に執筆されたもの。
著者あとがきによれば、3月11日以降に書き始め、5月中旬に脱稿。
ただし、3月11日から一か月ほどは、別の書き下ろし(『福島原発人災記』現代書館)に取りかかっていたので、実質的には一か月に満たない間に書き下ろしたものだという。
ただし、本書の前半は著者が十年ほど前に書いた文章に手を入れ、後半の原発に関する部分が書き下ろし、ということだ。

私は、東京新聞2011年8月21日(日)の書評ページに紹介されているのを見て、この本を知った。
すぐに購入したのだが、読み始めたのは昨年の暮れ。
昨夜、ようやく読みおえた。
すこし読みにくいところもあったが(急いで執筆・出版したための文章の乱れか)、刺激的で興味ぶかい内容だった。


東京新聞 2011/8/21(日) 読書欄書評
20110821_tokyo_shinbun_2 

― 本書カバー裏のコピーより ―
 戦後の日本が世界中の人々に本当に伝えるべきこと、
 それは、被爆=被曝の体験から生まれた文化、
 原子力による被害の文化である――
 ゴジラと放射能恐怖映画から、鉄腕アトム、広瀬隆『東京に原発を!』、
 吉本隆明『「反核」異論』、黒澤映画『生きものの記録』、
 『はだしのゲン』、『長崎の鐘』、『風の谷のナウシカ』、
 『AKIRA』、「原発文学」の数々まで、
 さまざまな文化現象を世相に重ね合わせながら読み解き、
 原発と原爆(=「核」)をめぐる時代精神を浮き彫りにする。
 3・11の破局にいたるまで、
 私たちはいったい何をしていたのだろうか……



ゴジラや鉄腕アトムなど、私が子どもの頃に親しんでいた「文化」(サブカルチャー)の陰に、原爆や原発の暗い影があったということに、今さらながら気づかされる。
私もまた、「3・11の破局にいたるまで、いったい何をしていたのだろう」と、忸怩たる思いにとらわれる。

筆者は私と同年、1951年生まれ。しかも北海道出身。
Wikipediaをみると網走市生まれとあるが、本書あとがきには、稚内に住んでいた十代の頃の話が書かれている。

― 本書 あとがき より ―
<……福島第一原発の事故のニュースに接して、私のなかに甦ってきたのは、十代の頃の私だった。小学生の高学年だった私は、その頃住んでいた稚内で、ある夜、ヘリコプターがけたたましい音を立てて、何機も飛来するのを目撃した。稚内の裏山には米軍のレーダー基地があり、自衛隊の駐屯基地もあった。それがいつだったか、今では正確にいえる。1962年10月15日の夜である。いわゆるキューバ危機が勃発した日だ。私は11歳だった。戦争が始まるのだ、第三次世界大戦が。広島・長崎に落とされた原爆の何十倍、いや何百倍の原水爆が世界中に降り注ぐのだ。ソ連に近く、だからこそ米軍と自衛隊の基地のある稚内は、真っ先にその犠牲となる……。>


その当時、私は旭川近郊の農村地帯に住んでいた(小学校教員の息子で教員住宅に住んでいた)のだが、ここに書かれた事態の記憶は、ほとんどない。
同年代だった著者と私の、当時の意識には大きな差がある。

著者あとがきの続きを、もう少し引用する。
著者の、ため息のような感慨を、今、私も同じように感じているのだ。
昨年の3月から今日まで、ずっと。

<それでなくても、米ソ英仏中の核実験によって、地球上の大気や海水は放射能に侵されていた。放射能の雨に当たれば、頭がハゲる。今すぐでなくても、遠い将来にそうなる。十代の私は、「放射能」の恐怖を東宝の怪獣映画やSF映画によってしたたかに味わっていた。…(後略)>

<原発爆発、放射能飛散というニュースに接して、そんな十代の自分に立ち戻された気持ちになったのだ。あれから自分は何をしてきたのだろうか。…(後略)>



いつもながら、引用ばかり長くて、恐縮。
次に読もうとしているのは、同じ著者が昨年3月の原発事故後すぐに書いて出版した本。
市立図書館から借りてきた。

川村 湊 著 『福島原発人災記――安全神話を騙った人々』
 現代書館 2011/4/25
 220ページ 1600円(税別)

こちらは、震災・原発事故の直後から、ネット情報を集めて書きあげたもの。
2011年3月11日(金)から3月25日(金)までの日記の体裁をとっている。
著者いわく、「〝怒り〟にまかせて書いたもの」 である。
事故発生から10か月近くたった今読んでも、臨場感がある。

―本書 まえがき より―
<私はあえて反原発派のものをコピペせず(参照は、した)、ネット上にある原発推進派のものをコピペし、それに私の批判、批評、感想を書きつけることにした。2次情報ではなく、1次情報を中心にし、それを部分引用したり、要約したりせずに、全文を引用することにした。…(後略)>
<一夜漬けのにわか勉強をしながら、心底、怒りを感じた。政治家も、実業家も、官僚も、電力会社経営者も社員も、学者も、マスメディアも、みんなが寄ってたかって、こうした事態を引き起こしたのだ。…(後略)>

感想は、読みおえてから、またあらためて。

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コメント

あけましておめでとうございます。今朝は雪が降っていましたが、もう晴れている当地です。面白そうな本ですね。川村さんのは以前に何冊か読んでいますよ。『風の谷のナウシカ』についてのあたり読みたくなりました。わたしは、東直己をこのところ読んでいます。札幌ススキノを舞台とするハードボイルドなのですが<北海道弁>に、なんとなく目尻をさげています。今年も「流されゆく日々」を楽しみにしています! おみくじのように<妻>が麻薬に手をだしたりするとドラマチックですね。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

投稿: みやこ | 2012年1月 5日 (木) 13時37分

>みやこさん
雪ですか。
こちらは、すこしお湿りがほしいほどのカラカラ天気が続いています。毎日寒いですね。
今年もよろしくお願いします。

川村湊さんはブログに書いた東京新聞の書評記事で初めて知りましたが、ちょっと興味のわく人です。同郷、同学年というのも、なんとなく親しみを感じます。

東直己という作家は知りませんでした。
Amazonで見てみましたが、面白そうですね。
私も読みたい小説がたくさん手許にあるのですが、なかなか読めませんねぇ。

投稿: やまおじさん | 2012年1月 5日 (木) 13時57分

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