【読】杉山龍丸「ふたつの悲しみ」
まず、今読んでいる本。
図書館から借りてきて読んでいる。
少年少女向けシリーズ「よりみちパン!セ」の一冊。
イースト・プレス
http://www.eastpress.co.jp/
小熊英二 『増補改訂 日本という国』
イースト・プレス 2011/7/15発行
200ページ 1200円(税別)
「日本という国」の歩みを、明治の開国期と第二次大戦後に絞って、こども向けに書いた本だが、大人が読んでも読み応えがあって面白い。
(目次)
第一部 明治の日本のはじまり
第一章 なんで学校に行かなくちゃいけないの
第二章 「侵略される国」から「侵略する国」へ
第三章 学歴社会ができるまで
第二部 戦後日本の道のりと現代
第四章 戦争がもたらした惨禍
第五章 占領改革と憲法
第六章 アメリカの<家来>になった日本
第七章 これからの日本は
第四章に、感動的な小文が引用されていた。
杉山龍丸(夢野久作の長男)が、戦後、復員事務の仕事に就いていた頃の回想文だ。
読んで、涙がでそうになった。
<杉山はある日、小学校二年生の少女が、食糧難で病気になった祖父母の代理として、父親の消息を尋ねにきた場面に出会った経験を、こう書いている。> (本書 P.85-)
この後の原文引用は長いので、転載しようかどうか迷ったのだが、ネット検索で原文にぶつかった。
杉山龍丸 「ふたつの悲しみ」
声なき声のたより 43号(1967年11月20日発行)より
興味深いサイトである。
ぜひ、下のリンク(二つ目の直接リンク)からご覧いただきたい。
谷底ライオン http://homepage2.nifty.com/tanizoko/index.html
上記サイトからのリンク
> 声なき声のたより (ふたつの悲しみ含む)> ふたつの悲しみ
http://tanizokolion.fc2web.com/futatunokanasimi.html
ちなみに、「声なき声のたより」とは――
<「声なき声のたより」は、60年安保改定の強行採決に反対する形で誕生した、緩やかな提携から成る市民団体「声なき声の会」の会報です。>
――とある(上記サイトより)。
杉山龍丸という人物も(私は知らなかったが)、興味深い人ではある。
「ふたつの悲しみ」は、「声なき声のたより」に掲載されたものであることを知った。
よく知られている文章なのかもしれない。
小熊英二氏が紹介しているのは、この文章の後半部分だ。
「ふたつの悲しみ」(ふたつのエピソード)の二つ目。
小学二年生の、けなげな少女の話だ。
戦争がもたらす「悲しみ」は、こういう具体的なエピソードが、何よりも雄弁に物語っている。
【追記】 2012/10/19
小熊さんのこの本を一気に読み終えた。
私が認識不足だった戦後日本の歴史(対米、対アジア諸国)。ハッとする記述がたくさんあり、たいへん勉強になった。
著者が薦めている下の本も、図書館から借りて読んでみようかな。
小熊英二 『〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性』
新曜社 (2002/11)
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