【読】梯久美子 「百年の手紙」
薄日の射す暖かい一日だった。
午後8時現在の気温、11度。
小雨がぱらつきだした。
明日は4月並みの暖かさという予報。
ジョン・ダワー 『増補版 敗北を抱きしめて 第二次大戦後の日本人』(岩波書店) 上巻を読了。
歴史の細部を知ることで、目を見開かされた思い。
興味ぶかいエピソードがたくさんあった。
その一例。
P.27-28 第一章 「無条件降伏」 より
※1945年9月2日、米戦艦ミズーリ号上での降伏文書調印式
<占領軍とともに、ダグラス・マッカーサー元帥という名の、威厳のある新しい君主的人物が、連合国最高司令官に任命されてやってきた。九月二日、東京湾に浮かんだ米戦艦ミズーリ号の甲板で行われた重々しい儀式において、マッカーサーと他の連合国九ヵ国の代表と、日本政府の代表が降伏文書に署名した。
この儀式には、象徴的なものが沢山みられた。戦艦の名であるミズーリは、ハリー・S・トルーマン大統領の出身州であった。トルーーマンが日本に関して下した主たる決断は、原爆を二つの都市に投下することと、前任者フランクリン・D・ローズベルトの「無条件降伏」政策を堅持することであった。このときミズーリ号に飾られた旗のひとつは、1941年12月7日、真珠湾が攻撃されたときホワイト・ハウスに翻っていた星条旗であった。もうひとつ、飛行機でアナポリスから急送された旗があった。それはペリー提督の旗艦ポーハタン号に翻っていた星31個の星条旗であった。ペリーは砲艦外交によって二世紀余りにわたる日本の鎖国を終わらせた。1853年、石炭燃料で煙を出す「黒船」と帆船からなるペリーの小さな艦隊が現れた。これが、血で血を洗う西側列強との世界的規模の競争へと日本を駆り立てるきっかけとなった。そして今や百年の光陰をへて、ペリーが想像だにしなかったであろう科学技術と科学立国を象徴する巨大な海軍、陸軍、そして空軍をたずさえて、アメリカ人たちは帰ってきたのであった。ペリーの古めかしい旗を、日本人への叱責のようにはためかせながら。>
P.93 第三章 より
<(前略)戦争が終結するはるか以前に、彼ら官僚たちは、民衆の肉体的な疲弊と戦意の低下を敏感に察知していたのである。たとえば、1945年3月、東京大空襲による被害を天皇がみずから視察したことがある。もちろん天皇みずからの視察はめったにないことであったが、住民は天皇に敬意に満ちた態度をみせなかった。>
下巻も、図書館から借りて読んでみたい。
今日は、新しい本を一冊購入。
梯 久美子 (かけはし・くみこ) 『百年の手紙――日本人が遺したことば』
岩波新書1408 2013/1/22発行
246ページ 800円(税別)
東京新聞と中日新聞の夕刊に連載されていたもの。
(2011年7~9月および2012年7~9月)
連載中、読んでいたが、もう一度まとめて読んでみたいと思った。
<田中正造、寺田寅彦、宮柊二、端野いせ、吉田茂、中島敦、横光利一、山田五十鈴、室生犀星、管野すが…。恋人、妻・夫、子どもへの愛、戦地からの伝言、権力に抗った理由、「遺書」、そして友人への弔辞…。激動の時代を生きぬいた有名無名の人びとの、素朴で熱い想いが凝縮された百通の手紙をめぐる、珠玉のエッセイ。> ― Amazonサイトより ―
東京新聞 2013/1/27(日) 読書欄
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