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2013年4月 4日 (木)

【読】邦題の不思議

数日前このブログに書いた本を、読んでいる。

2013年4月1日 (月)  【雑】なにか読みたい病
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-e842.html


松原久子/田中敏(訳) 『驕れる白人と闘うための日本近代史』
 文藝春秋 2005年

著者は日本人だが、ドイツ語で書かれた原著の日本語訳。
原題 Raumschiff Japan (宇宙船 日本)、原著副題「真実と挑発」、Albrecht Knaus社、ミュンヘン、1989年。
なかなか、いわくつきの本だ。

それにしても、この邦題 『驕れる白人と闘うための日本近現代史』 は、いささか煽動的すぎる。
タイトルと装幀(カヴァーは甲冑の写真だ!)だけみると、最近はやっている 「反・自虐史観」モノ かと思ってしまう。
(慎太郎サンなどが喜びそうな……)
すぐに読む気になれなかったのも、そういうわけだ。

邦題で損をしているのではなかろうか。
2005年ごろ、こういったタイトルが人目をひいたのかもしれないが。

Wikipediaによると、著者の松原久子氏はこういう人。

松原 久子(まつばら ひさこ、1935年5月21日 - )
 長くドイツで活動していた学者、評論家であり著作家である。
 ドイツ・ペンクラブ会員。京都府出身、アメリカ合衆国・カリフォルニア州在住。
 生家は京都市の建勲神社であり、同市で育つ。
 国際基督教大学を1958年に卒業し、アメリカ合衆国・ペンシルベニア州立大学(舞台芸術科)で修士号取得、日本演劇史を講義した。その後、ドイツ・ゲッティンゲン大学大学院にてヨーロッパ文化史を専攻、1970年に博士号(日欧比較文化史)を取得した。
 ドイツでは週刊の全国紙「ディー・ツァイト」でコラムニストを務めたほか、西ドイツ国営テレビ(当時)の国際文化比較討論番組にレギュラー出演するなどしていた。
 1987年アメリカ合衆国・カリフォルニア州 に移住し在住。スタンフォード大学フーバー研究所特別研究員を経て、著作活動を続けている。
 版画家の松原直子は妹。
著作
 「驕れる白人と闘うための日本近代史」 2005年、文藝春秋
 「言挙げせよ日本 - 欧米追従は敗者への道」 2000年、プレジデント社
 「和魂の時代 - 開き直った『杭』は打たれない!」 1987年、三笠書房
 「日本の知恵 ヨーロッパの知恵」 1985年、三笠書房
 「日本人とドイツ人 - ドイツ家庭教育に学ぶもの」 1974年、三笠書房
 その他、主にドイツ語による評論、小説、戯曲など多数>

内容は、けっして煽動的なものではなく、クールな眼で日本近代社会(おもに鎖国時代と明治の開国期)を欧米社会との比較で論じている。
いわば、日本を外側からみた日本論。
それも、外国人からではなく、外国に身をおいた日本人からの。

著者が豊富な海外経験で身に沁みて知った 「欧米人の(ゆがんだ)日本観」 と、それに対する反論が小気味よい。
論旨もしっかりしていて、興味ぶかい。

知人がブログで書いていたのを読んで興味をもち、図書館から借りてきたが、この本はアタリだった。
三分の一ほど読んだところ。
私にとってのあたらしい発見も多い。

しっかりした内容なのだから、章題も、もっとおだやかなものにしておけばよかったものを。
翻訳者、編集者の勇み足のような感じを受ける。

― 目次 ―
序章 「西洋の技術と東洋の魅力」
第1章 世界の端で――「取るに足らない国」だった日本
第2章 劣等民族か超人か――「五百年の遅れと奇跡の近代化」という思い込み
第3章 草の根民主主義――江戸時代の農民は「農奴」ではなかった
第4章 税のかからない商売――商人は独自の発展を遂げていた
第5章 金と権力の分離――サムライは官僚だった
第6章 一人の紳士――初代イギリス駐日公使・オールコックが見た日本
第7章 誰のものでもない農地――欧米式の「農地改革」が日本に大地主を生んだ
第8章 大砲とコークス――日本はなぜ「自発的に」近代化しなかったのか
第9章 高潔な動機――「白人奴隷」を商品にしたヨーロッパの海外進出
第10章 通商条約の恐ろしさ――日本はなぜ欧米との「通商条約」を恐れたか
第11章 茶の値段――アヘンは「中国古来の風習」だと信じている欧米人
第12章 ゴールドラッシュの外交官――不平等条約で日本は罠に陥った
第13章 狙った値上げ――関税自主権がなかったために
第14章 頬ひげとブーツ――欧米と対等になろうとした明治政府
第15章 猿の踊り――日本が欧米から学んだ「武力の政治」
第16章 たて糸とよこ糸――今なお生きる鎖国時代の心

この著者の 『日本の知恵 ヨーロッパの知恵』 も、どんな内容か気になる。
図書館にあるだろうか。

<なぜヨーロッパ人は自分に非があっても謝罪しないのか。そこには文化史に根ざした深い原因がある。事実の例証をとおして、日本人の本質を解明し、これからの新しい日本人の、真の国際人としての生きかたの方向を示す。
[目次]
1章 竹林の知恵;2章 銀の国・日本;3章 あの世の力;4章 近世の黎明;5章 ヨーロッパの苦悩;6章ローマ法王の影;7章 バテレンの心遣い;8章 衝突の兆;9章 外からの導火線;10章 老獪な虎;11章西洋文明の楽屋裏;12章 「大迫害」の真相;13章予言の謎;14章 禍福の回舞台;15章 日欧の巷・群なす人々;16章 五人組の波紋;17章 上下の風情;18章 一所懸命の哲学;19章 東西の家族関係;20章 異常体質の後遺症;21章 相互理解の糸口>

(e-honサイトより)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000004329835&Action_id=121&Sza_id=F2

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