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2013年6月30日 (日)

【読】赤坂憲雄 「岡本太郎の見た日本」

きのう、図書館から借りてきた本。
吉祥寺のMOTELライブに向かう乗り物のなかで、読みはじめた。

赤坂憲雄 『岡本太郎の見た日本』
 岩波書店 2007/6/26発行 375ページ 2,300円(税別)

民俗学者・赤坂憲雄さんが岡本太郎を論じる、ということが私には意外だった。
この本が出たことを知ってから、ずっと、読んでみたいと思っていた。

まえがき、あとがきを先に読む。
こういう構えた本は、全体の構成を頭に入れてから読まないと、途中でいやになってしまうから。

次に、気になっていた、例の「久高島の事件」に触れている箇所を読んでみた。

第四章 沖縄、ひとつの恋のように (P.211~290)

<それから七年が過ぎて、1966年12月26日から五日間、久高島ではイザイホーの神事が執りおこなわれた。太郎はそのとき、島を再訪し、前回の旅では触れることができなかった、信仰の感動が強烈にもりあがる祭りの情景を見ることができた。その紀行は「神々の島 久高島」と題して、『沖縄文化論――忘れられた日本』の増補版に収録されている。(後略)>

<ところで、この久高島再訪は、のちに忌まわしい事件として語り継がれることになる。イザイホーという神聖なる神ごとがおこなわれているさなかに、太郎が島の風葬の場所に立ち入っていたことが発覚して、避難を浴びたのである。そのために、『沖縄文化論――忘れられた日本』という著書そのものが、ある負の烙印を押されて、沖縄の人びとから忌避されてきたのかもしれない。いまでは、その非難もやわらいだようだが、できるならばわたしはこの『沖縄文化論――忘れられた日本』に突き刺さったトゲを抜いておきたい、と願う。>
(以上、本書 P.270)

こう前置きして、岡本太郎の著作の該当箇所を引用したあと、赤坂さんは太郎のとった行動を次のように捉えている。

<イザイホーとは、十二年に一度おこなわれる、久高島でもっとも大切な聖なる祭りである。沖縄の祭りはケガレとの接触を忌み嫌う。イザイホーのかたわらで、よそ者が風葬の地に足を踏み入れるなどということは、あってはならないことだった。太郎はそれと知らずに、地元の新聞記者の誘いに乗せられるかたちで、あきらかに最大のタブーを侵したのである。それは民俗学者としても、最低限の作法に反する行為であったはずだ。>
(P.271~272)

岡本太郎が『沖縄文化論』で書いていることからわかるように、
<沖縄には穢れのタブーが強いかたちで存在することを、知識としては十分に知っていた>
はずだが、彼が意識していたのは
<よそ者は島の後生(グソー)に入ってはいけない、というもうひとつの禁忌であり、祭りの庭に死の穢れを持ち込んではならない、という禁忌ではなかったらしい。それが不幸をもたらした。沖縄のがわに、手引きする者がいなければ、この踏み外しがありえなかったこともまた、あきらかだ。>
(P.272)

私が読んだ印象では、岡本太郎が「後生」に足を踏み入れたのは、地元の記者の誘いによるものだが、あきらかに「やってはいけないこと」という意識があってのことだと思う。
いわば、確信犯である。

ただ、文庫版の『沖縄文化論』(中公文庫)に掲載されていた(同書 P.240)写真 「後生で撮影中の著者」 の彼の表情は真剣で、まるで風葬されている人骨に魅入られているかのような凄みがある。
難しい問題かもしれない――「研究する側、写真を撮る側」の問題としては。

でもなあ、やっぱり岡本太郎にも欠けていたのは、「研究される側、写真を撮られる側」がどう感じ、受け取るか、ということへの想像力ではなかっただろうか。
――なんてことを考えながら、赤坂さんの結語を読んでいた。

<それにしても、太郎は幸福であったかもしれない。長いあいだ秘密の状態にとり残されてきた、原始的な葬制としての風葬、そして洗骨のフォークロアに、触れることができた。その残酷でありながら、どこまでも浄らかな世界は、やはり強烈だった。そのとき、そこでの、太郎の関心のありようや、感動の質といったものには、卑しさがかけらもないことに、あらためて注意を促しておきたい。その姿はどこまでも厳粛であり、敬虔なものだ。まるで免罪符とはならないが、この人の好奇心が子どものように、あるいは獣のように純粋だったことは、否定すべくもない。>
(P.273)

ちょっと、赤坂さん、贔屓のしすぎでは?――と私は思うが、まあ、岡本太郎という巨人(怪人)は、こういう人だったのだろう。
分厚くて、硬くて、最期まで読みきれるかどうかわからない本だが、もう少し読んでみようか。

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