【読】勢古浩爾さんの処女作
ネット通販サイト(e-hon)の新刊ニュースで、勢古浩爾さんの「幻の処女作」が本になって出版されたことを知った。
勢古さんご自身が、何度か著書のなかで触れていたもので、読んでみたいと思っていたところだ。
詩人・石原吉郎論である。
さっそく注文して手に入れた。
勢古浩爾 『石原吉郎――寂滅の人』
言視舎 2013/6/30発行 249ページ 1,900円(税別)
<壮絶な体験とは、人に何を強いるものなのか? ラーゲリ(ソ連強制収容所)で八年間、過酷な労働を強いられ、人間として、体験すべきことではないことを体験し、帰国後の生を、いまだ解放されざる囚人のように生きつづけた詩人・石原吉郎の苛烈な生と死。「忘れられた」詩人を再発見し、生きることの意味、倫理のあり方を正面から問い直した、著者「幻の処女作」ついに刊行! ★『望郷と海』を読んだのは二十代の後半だった。…「ここにおれとおなじような人間がいる」と思ったのだった。むろん時代がちがう。年齢がちがう。体験の質と量がちがう。が、孤独が似、自己愛と自己嫌悪が似、人間への反感が似、痛々しさが似ている、と思われたのだ……『まえがき」より >
― Amazon ―
以下、本書あとがきの勢古さんのことば。
<まさかこの原稿が本になるとは思わなかった。そのまま埋没し、消失してしまうことがこの原稿の宿命だったのだと思えば、感慨もひとしおである。
本書はわたしが一番最初に書いた原稿である。かっこよくいえば、“幻の処女作”ということになるのだろうが、純文学の大家じゃあるまいし、そんなものは“幻”のままにしとけよ、といわれかねず、まあただの処女作である。……>
開高健賞に応募し、最終選考三篇に残ったものの受賞できず、出版もされなかった。
そのかわり、『中島みゆき・あらかじめ喪われた愛』(宝島社)を1994年に上梓している。
私はなんとか手に入れて読んでみたが、面白い中島みゆき論だった。
ブログの過去記事で恐縮だが……。
2010年5月28日(金) 【楽】【読】勢古浩爾さんの中島みゆき論
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-c0bf.html
2010年5月28日(金) 【楽】【読】勢古浩爾さんの中島みゆき論(続)
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-3325.html
2010年5月30日(日) 【楽】【読】勢古浩爾さんの中島みゆき論(続々)
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-16fb.html
詩人・石原吉郎については、6年前に読んだこの本もよかった。
石原吉郎――ずっと気になっている人ではある。
多田茂治 『石原吉郎「昭和」の旅』
作品社 2000/2/5発行 281ページ 2,000円(税別)
2007年2月28日(水) 【読】詩人 石原吉郎
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/post_76d9.html
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