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2013年10月29日 (火)

【読】松浦武四郎の「一畳敷」

図書館から借りたのではなく、ネット注文で本当に「手に入れた」本。
ビジュアルで、すばらしいものだった。
装幀も凝っていて、楽しめる。
これは買ってよかった。

『幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷』
 INAX BOOKLET 1,500円(税別)

― Amazonより ―
■内容紹介
 明治の評論家・内田魯庵が「好事の絶頂」と評した畳一畳の書斎がある。幕末に北海道探検に命をかけた松浦武四郎が、晩年全国各地の有名な社寺仏閣から古材を寄付してもらい建てたものだ。松浦武四郎(1818-1888)とは型破りな才人で、生涯にかけて日本全国を旅し、それを240以上のすぐれた画と文章で著作に表した著述家である。また和歌や篆刻にも優れ、各地の文物を蒐集し、広いネットワークを誇る趣味人でもあった。彼の八面六臂の人物像と、旅の足跡を集約させた小さなセルフビルドの庵は、今も不思議な異彩を放つ。
 本書では、日本の国防を憂い6度も一人で蝦夷へ向かった集大成・蝦夷山川地理取調地図を導入に、アイヌ語で全地名を書き入れた驚くべき緻密さと、山地を立体的手法で描いた独特の表現をご覧いただきたい。旅の記録を描きとめた直筆の野帳や覚書から、特に暮らしや道具、動植物など民俗学的視点で描かれたページを多数紹介する。後半は「一畳敷」内部空間のディテールを細かく考察、伊勢神宮や厳島神社、嵐山の渡月橋など木片の来歴が照合できる。旅をもとに奇想天外な発想で創られた背景に注目すると、かつて旅した地を思い出すインデックスのような役割の場所であることが分かる。激動の時代に生きながら、ダイナミックな行動で様々なものを残した武四郎。真摯な中にもユーモア溢れる彼のまなざしに迫る初のビジュアル本。類稀なる知識欲と冒険心が滲み出る一冊。
■著者について
・高木崇世芝 Takayoshi TAKAGI
 古地図研究家。1938年北海道生まれ金沢美術工芸大学卒業。松浦武四郎、伊能忠敬をはじめ、最上徳内・近藤重蔵・間宮林蔵ら北方探検家の業績に関わる資料、北海道古地図を主な研究テーマとする。著書に『北海道の古地図 江戸時代の北海道のすがたを探る』(五稜郭タワー)、『松浦武四郎「刊行本」書誌』『松浦武四郎関係文献目録』(以上、北海道出版企画センター)
・安村敏信 Toshinobu YASUMURA
 板橋区立美術館館長。1953年富山県生まれ。東北大学大学院修了。日本近世絵画史専攻。同館で江戸文化シリーズとして、江戸時代美術史のユニークな企画展を開催し注目を集める。編・著に『美術館商売』(勉誠出版)、『もっと知りたい狩野派 探幽と江戸狩野派』(東京美術)、『江戸の絵師「暮らしと稼ぎ」』(小学館)、『別冊太陽 河鍋暁斎 奇想の天才絵師』(平凡社)、『暁斎百鬼画談』(筑摩書房)など多数。
・坪内祐三 Yuzo TUBOUCHI
 評論家・エッセイスト。1958年東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。主な研究テーマは、明治大正文化史、アメリカ文学など。著書に『ストリートワイズ』『古くさいぞ私は』(以上、晶文社)、『シブい本』『文学を探せ』(以上、文藝春秋)、『靖国』(新潮社)、『風景十二』(扶桑社)、『酒中日記』(講談社)、『極私的東京名所案内増補版』(ワニブックス)など多数。2001年『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲がり』
・ヘンリー・スミス Henry D.Smith
 コロンビア大学教授、京都アメリカ大学コンソーシアム所長、日本近代史家。1940年アメリカ・アリゾナ州生まれ。イエル大学卒業、ハーバード大学にて博士号取得。1985~87年、カリフォルニア大学東京スタディーセンター長として国際基督教大学で教鞭をとる。主に、19世紀日本の視覚文化を研究。著書に『広重名所江戸風景』『浮世絵にみる江戸名所』(以上、岩波書店)、『泰山荘 松浦武四郎の一畳敷の世界』(国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館)。
・山本命 Mei YAMAMOTO
 松浦武四郎記念館学芸員。1976年大阪府生まれ。奈良大学卒業。2001年三重大学大学院中退、同年4月より現職。武四郎の魅力を広く全国に発信するために、調査・研究活動・普及活動に努める。

【写真】 上から
背表紙
絵双六(蝦夷土産道中双六)
蝦夷地図(蝦夷地北端とリイシリ=利尻島)

Takeshirou1

Takeshirou2

Takeshirou3

松浦武四郎 (1818~88)
文化15年、伊勢に通じる街道沿い、現在の松阪市小野江町で生まれた。蝦夷地探検家であり「北海道」の名付け親として知られる。その活動は広範・多彩で、全国を旅し、山に登り、生涯に240を超える著作を残した。吉田松陰は武四郎を盟友とし「奇人で強烈な個性の持ち主」と評した。明治政府より開拓判官に任じられたが、政府のアイヌ政策を批判して辞任する。古物を収集した好事家でもある。幕末から明治への激変の時代に、独自の仕事を成し遂げた稀有な人物の軌跡を、残された多様な「断片」からたどる。
(本書 P.11 上の写真のページから)

【目次】
松浦武四郎の蝦夷地図 (高木崇世芝)
記録 野帳/図会/日誌/絵双六/刊行本/北海道人樹下午睡図
奇想の仏画北海道人樹下午睡図 (安村敏信)
武四郎年表
交流 渋団扇帖/篆刻/蝦夷屏風/古器縦横/骸骨図縫付傘
松浦武四郎は山中共古の名付け親 (坪内祐三)
幕末の探検家 松浦武四郎の一畳敷
一畳敷内細部/一畳敷外細部
インタビュー 唯一無二の書斎 一畳敷の魅力を語る (ヘンリー・スミス)
解説 旅を愛し歩き続けた松浦武四郎の生涯 (山本命)

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