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2013年11月16日 (土)

【読】関野吉晴さんの対談集

図書館にリクエストしておいた本が、ようやく届いた。
わざわざ購入して入れてくれたようで、うれしい。

『人類滅亡を避ける道――関野吉晴対論集』
 東海教育研究所/東海大学出版会 2013/4/8発行
 277ページ 1,800円(税別)

― Amazonより ―
 科学技術の発達と、それに逆襲するかのような大災害や原発事故。止まらない経済のグローバル化と環境破壊。この先いったい人類はどこへ行くのか。この地球上で生き残れるのか。未来への希望の光を見いだすために、関野吉晴が九人の「賢者」と語り合う―。
著者略歴 関野吉晴
 探検家、医師、武蔵野美術大学教授(文化人類学)。1949年東京都生まれ。一橋大学法学部、横浜市立大学医学部卒業。一橋大在学中に探検部を創設し、アマゾン全流を下ったのを皮切りに、約20年間南米各地に遺跡や先住民を訪ねる旅を続ける。その間に医師となり病院勤務も続けるが、1993年からは人類がアフリカから南米南端にまで広がった道のりを逆ルートでたどる「グレードジャーニー」をスタートさせ、2002年にタンザニアのラエトリにゴールした。2004年から「グレートジャーニー 日本列島にやってきた人々」を始め、2011年6月にインドネシアからの「海のグレートジャーニー」を終えて沖縄・石垣島に到達した。1999年、植村直己冒険賞受賞。

対談相手に、私の好きな人が何人かはいっていて、うれしい。
船戸与一、池澤夏樹、服部文祥の三人のページを、まっさきに読んだ。
関野さんと対談相手9人の、それぞれの個性がでていて、面白い。

・山折哲雄 (宗教学者) 1931年生まれ
 それぞれの風土が育ててきた基層の文化に立ち返れ!
・池内 了 (宇宙物理学者) 1944年生まれ
 よりよい未来にじっくりじっくり近づいていこう
・船戸与一 (作家) 1944年生まれ
 「闇なき世界」に未来などあるのか?
・藤原新也 (写真家・作家) 1944年生まれ
 世の「毒」を食らった若者にこそ可能性はある
・池澤夏樹 (作家) 1945年生まれ
 草食男子の静かな暮らしが「人類生き残り」の戦略となる?
・山極寿一 (人類学・霊長類学者、京都大学理学部長・大学院理学研究科長) 1952年生まれ
 ゴリラ社会の“負けない論理”に学ぼう
・井田 茂 (日本惑星科学会前会長、東京工業大学地球惑星科学科教授) 1960年生まれ
 宇宙を見て地球を知れば、人類の未来への新しい発想も……
・島田雅彦 (作家・文芸家協会理事・法政大学国際文化学部教授) 1961年生まれ
 人も社会も「成熟」したら、創造的な「没落」を目指そう
・服部文祥 (サバイバル登山家) 1969年生まれ
 地球の自然を食い荒らす有害獣(にんげん)は駆除しなくていのか?

エピローグ(あとがき)のかなりの分量をさいて、船戸与一さんのことが書かれている。

船戸さんとの対談が4時間半にも及んだこと。
船戸さんの超長編小説『満州国演義』が、全9巻の予定であること(7巻まで刊行されている)。
「たちの悪い悪性腫瘍」と戦っている船戸さんに、対談の話を持ちかけるのに勇気が必要だったこと。
対談の三週間前、毎年、出版社の編集者やジャーナリスト、作家らが船戸さんを囲んで開く忘年会があり、その場で対談をお願いしたこと。
……等々。船戸さんの近況もわかった。
『満州国演義』は、ぜひとも完結してもらいたい。

船戸さんは、早稲田大学探検部のOB。
西木正明さんらとともに、凍ったベーリング海峡を渡るための先遣隊員として、アラスカ西部で越冬したことがある。
関野さんも、大学探検部出身だ。
関野さんが船戸作品のファン、というのは意外だった。
そういえば、前にも二人は対談していたっけなあ。

関野さんは、対談の名手だなあ。

池澤夏樹さんの言葉が印象に残った。

<……いずれにしても、これから決定的な変化を経験するのは若者です。人口問題や食糧問題できっとつらい思いをするんだと思います。そこで、ホモサピエンスの真価が問われるんですね。どこまであさましくなるのか、互いに手を差し伸べるのか。3・11はいい実験だったと思いますよ。つらいことがあって、そこからどう立ち直るか。昔から日本は大変住みやすいところだったけど、自然災害が多かった。どうしても来るからしようがない。そのたびに失って、泣いて、またやり直したんです。そういう意味では強い。でも政治は異民族が来なかったぶんだけ、とくに外交が下手で、大きな戦争に負けても自分たちが起こしたことだとは思わないで一種の自然災害のように一億総懺悔とかいって、さあ再建しようで、おしまい。ドイツみたいなしつこさがない。国民性はよくも悪くもそんなものですね。でもまあ、いろいろ考えることは誰でもできますから、生きていきましょうよ(笑)。> (本書 P.157)

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