【遊】ポイントが貯まる図書館は快適ですか?
午後、西武線の電車に乗って西武柳沢駅まで。
南口にある西東京市公民館で開かれた講演会を聴いてきた。
「ポイントが貯まる図書館は快適ですか? ―武雄市図書館の事例―」
2013/12/8(日) 14:00~16:30
場所 西東京市柳沢公民館 視聴覚室
講師 山本宏義さん(関東学院大学教授)
企画 市民自治井戸端会議
主催 西東京市公民会
山本氏の他に、武雄市から「武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会」の方も、すこし話をされた。
武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会 ブログ
http://takeolib.sblo.jp/
TSUTAYAのTポイントカードが使える図書館として、すっかり有名になってしまった武雄市図書館(佐賀県)。
公共図書館でありながら、TSUTAYAやスターバックスコーヒーがわがもの顔にスペースを占拠している。
図書貸出カードはTポイントカードと一体になっていて(いちおうオプションだが)、本を借りるとTポイントが付くという。
本来の「図書館」機能は隅に追いやられて、館内の中心はTSUTAYAの販売コーナー(書籍・雑誌等)とレンタルコーナー、それにカフェ(スターバックスコーヒー)だ。
旧図書館に併設されていた「歴史資料館・蘭学館」はレンタルDVDコーナーに変わり、児童書があった入口付近にはスタバがデンと店を構える。
配布された資料には改装前後の平面図が印刷され、各コーナーの改装前後のカラー写真も。
オシャレに変身した、というところか(もちろん皮肉ですよ)。
これを見ると、図書館の書架が一階の奥や狭い二階に押しやられてしまったことが、一目瞭然だ。
配架も、図書館一般の日本十進分類(NDC)によらず、書店方式。
児童書なども、こどもが利用しやすい低い書架から、踏み台に乗っても届かないような背の高い書架になってしまった。
なかでも、「学習する市民の会」の方が、悔しそうにおっしゃっていたことが印象的だった。
こどものための読み聞かせの部屋(おはなしのへや)――とても素敵な空間だった――が、改装後は奥に押しやられ、貧弱なスペースになったというのだ。
どうしてこんなことになったのか?
武雄市長のワンマンぶりを聞くにつけ、情けない思いがする。
見た目には洒落た空間だが、これはもう「図書館」と呼べない「新刊書店」、それも、売らんかなの思惑が見え見えの(私も利用したいとは思わない)「本屋」に変質してしまったようだ。
武雄市図書館を委託管理しているCCCという会社は、他でも指定管理者として幅をきかせてきているという。
武雄市だけの問題ではなく、これからの図書館のあり方を考えるうえで、いろいろと勉強になり、問題意識を喚起させられた。
武雄市図書館
http://www.epochal.city.takeo.lg.jp/winj/opac/top.do
CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
http://www.ccc.co.jp/
Wikipedia 武雄市図書館 より
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E9%9B%84%E5%B8%82%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8
2012年5月4日、武雄市は書籍・音楽ソフト・映像ソフトのレンタル・販売店大手チェーン「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)を当館の指定管理者にすることが発表された。民間の書店である代官山蔦屋書店を手本にすることが特徴で、蔵書数20万冊、年中無休とし、開館時間を9時から21時に拡大し、貸出カードを同社が展開する「Tカード」または新たに発行する「図書利用カード」いずれかの選択制とした(事前登録・更新では約3400名中95%の利用者がTカードを選択)。図書貸出有効期限はどちらも発行日から3年。Tカードの場合には貸出時にTポイントを付ける。また2012年8月14日、コーヒーチェーン店「スターバックスコーヒー」を出店することも発表された。図書館内の座席では館内で購入した飲料や、持ち込んだ水筒(スターバックス店内には持ち込み不可)に入れた飲料などを飲みながら図書を閲覧できるようにした(食事は不可)。この改装のため、2012年11月1日から2013年3月31日まで休館した。
この事例を全国的に「新しい図書館のロールモデル(手本例)」にする意向を、樋渡は繰り返し表明している。そのため、図書館の新たなロールモデルが実現するか、議論の行方が注目される。
かつてあった施設
おはなしのへや 図書館にあった読み聞かせの施設。スターバックスコーヒー 蔦屋書店 武雄市図書館店のバックヤードとなった。隣接して置かれていたこどものトイレ及び授乳室は、既存のトイレ内及び近辺に移された。
AVブース 図書館にあった視聴覚資料の閲覧席及び陳列棚。廃止され、館内での視聴はポータブルDVDプレイヤーを一人1日1回に限り貸し出すこととなった。図書館の視聴覚資料はレファレンスコーナー内に移された。
畳のコーナー 隣接していた読書コーナーの一部とともに、新設の児童コーナーとなった。
蘭学館 武雄の蘭学資料を常設展示していた施設。ミニ展示コーナーではミニ企画展が行われていた。2012年10月末で閉鎖され、蔦屋書店 武雄市図書館の音楽・映像ソフトレンタル店舗となった。
エントランスホール 玄関から入館した所にあった広場。エポカル武雄まつりなど各種イベントに用いられていた。蔦屋書店 武雄市図書館の一部となった。
情報センター 検索やインターネットを利用できる端末が設置されていた円形のスペース。蔦屋書店 武雄市図書館の一部となった。
カフェラウンジ 飲食スペース。追加された出入り口となった。武雄市文化連盟設立記念事業として設置されていた、郷土の先人を紹介する陶板は撤去された。
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