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2014年1月14日 (火)

【読】セイゴオさんのブックガイド 「3・11を読む」

今日も晴れてきたが、外は北風がつめたい。
東京の冬らしい天気だ。

午前中、セルフサービスのガソリンスタンドまで行く。
ガソリンはリッター151円、灯油はリッター99円。
毎日冷え込むので、灯油の消費が本格的になってきた。


すこし前、新刊書店でたまたま見つけた本が手元にある。
昨夜、図書館から借りていた震災・原発関連の本を読み終えたので、開いてみた。

松岡正剛 『千夜千冊番外録 3・11を読む』
 平凡社 2012/7/11発行 430ページ 1,800円(税別)

― e-honサイトより ―
[要旨]
「千夜千冊番外録」が、ついに一冊に。東日本大震災、フクシマ、原発、津波、東北、蝦夷、鎮魂、母国…、松岡正剛が3・11を沈思追読。
[目次]
第1章 大震災を受けとめる(三陸沖のコンティンジェンシー―尾池和夫『新版 活動期に入った地震列島』;底が抜けてしまった日本システム―新潟日報社特別取材班『原発と地震』 ほか);第2章 原発問題の基底(この一冊に集約される日本原子力体制―吉岡斉『新版 原子力の社会史』;正力松太郎という原子力メディア―有馬哲夫『原発・正力・CIA』 ほか);第3章 フクシマという問題群(法人資本主義者による人災国家―小田実『被災の思想 難死の思想』;核燃料サイクル施設をめぐる父と子―高村薫『新リア王』上下 ほか);第4章 事故とエコとエゴ(事故で知性が危機になっている―ポール・ヴィリリオ『アクシデント事故と文明』;天皇のビデオメッセージが暗示する―佐藤優『3・11クライシス!』 ほか);第5章 陸奥と東北を念う(東北の歴史が押し寄せてくる―梅原猛『日本の深層』;常民の歴史だけでは浮上しない東北―赤坂憲雄『東北学/忘れられた東北』 ほか)
[出版社商品紹介]
大震災と原発問題について、多くの関連本の中から、何をどう読めばいいのかを案内。ウェブ連載「千夜千冊番外録」の待望の単行本化。

松岡さんのウェブサイト 「千夜千冊」
http://1000ya.isis.ne.jp/
に連載されたものがベースになっている。
 → 番外録INDEX
  http://1000ya.isis.ne.jp/souran/index.php?vol=10

全部で60冊の震災・原発関連本が紹介されている。
驚いたのは、あの大地震の直後、3月16日から連載が始まっていることだ。

大地震、大津波、福島第一原発事故と続く混乱のなか、自身の体験を織り込みながら、正剛さんならではの「書評」が展開されていて、とても面白い。

「『まえがき』に代えて ――損傷の哲学へ 小さな絆創膏」 の冒頭には、こう書かれている。

<いったいどうしたことか。/世界や日本の本来と将来について、新たな理念や展望で語ることがどの分野でもそうとう難しくなっている。環境や政治を、経済や生活を、価値や制度を、それらが甚だしく損なわれていることをもってしか語れない。いろいろなものがびりびりと破れ、よかれと思って作りあげたシステムがぐだぐだとして機能しきれず、慌てて投入する資金はたちまち該当性を失っていき、これらを補修すべき人材はどんどん交代させられていく。そこへ3・11だったのである。> (P.9)

また、「あとがき」には、こうも書かれている。
正剛さんの面目躍如、といったところ。

<ひょっとして、いまさら「3・11を読む」でもないだろうと思われる読者がいたとしたら、反論したい。ぼくはどんな事件もどんな歴史的な出来事も、それが古代ローマ帝国の滅亡であろうと、藤原氏や平家や源氏が分かたれた保元の乱であろうと、ガリレオ・ガリレイの処刑であろうと、イギリスとナポレオンのあいだに勃発した大陸封鎖であろうと、毛沢東の文化大革命や天安門事件であろうと、エイズの最初の発症確認であろうと、ブッシュのイラク攻撃であろうと、これらすべてが歴史的現在にありつづけるのだと反論したい。> (P.424)

<歴史的現在に立って考えるということは、ぼくが長らくモットーにしてきた方針である。歴史を過去に埋もれさせないということでもあるが、その歴史を見ている自分はこの現在にいるという意味でもある。……(後略)> (同上)

私は、正直なところ正剛さんの言う「編集工学」というものが十分理解できていないが、彼が書くものは好きで、触発されるところが大きい。

読みかけの本がほかにもあるので、どこまで読めるかわからないが、拾い読みしてみたい。


こんどの東京都知事選挙(2月9日投票日)にまつわる報道からもわかるように、「3・11」はこれからもまだ、ずっと尾を引くのである。

「原発問題」は国政のハナシだから都知事選の争点にするのはいかがなものか――自公のリーダーがこう語ったという。
原発廃止論を唱える候補(予定者)への牽制発言だが、とんでもないことだ。

東京都民にとって、原発はけっして他人事ではない。
6年後の「東京」オリンピックにも関わることだし、なによりも、都民が恩恵にあずかっている東電の電力の一部は(今は停止しているが)原発が作りだしているものなのだ。

話が逸れたが、こんどの都知事選は、われわれ都民にとってひとつの正念場になるだろう。
今回の都知事選には注目している。

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