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2014年1月13日 (月)

【読】もうすぐ読了 「ドキュメント福島第一原発事故」

晴れているが、北風が冷たい一日。

9日から少しずつ読み続けている本を、もうすぐ読み終える。

著者の大鹿靖明氏は、「AERA」編集部にいたジャーナリスト。
この本は、第34回講談社ノンフィクション賞を受賞している。

三部構成で、第1部は福島第一原発事故の経緯を追っているが、第2部、第3部では、事故後の政府(当時の菅直人内閣)、経済産業省、東京電力の間での攻防が、かなり詳しく書かれている。

当時の新聞報道などでは見えなかった、この国の原子力行政のドロドロした部分がよくわかって、興味深い。
マスコミ報道もいい加減だったことがわかる。

大鹿靖明 『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』
 講談社 2012/1/27発行 366ページ 1,600円(税別)
 講談社文庫 2013/2/15発行 656ページ 950円

 

― Amazon(文庫版)より ―
 「日本の『ベスト&ブライテスト』が誕生した」(ノンフィクション作家・野村進氏)、「これぞ調査報道の真骨頂」(作家・重松清氏)。第34回講談社ノンフィクション賞で、選考委員が絶賛した調査報道ノンフィクションが全面バージョンアップされ、文庫化された。ビデオ映像で明らかになった東電の杜撰な事故対応、脱原発阻止を目論む経産省官僚の陰謀などの新事実を大幅加筆した。
 (本書より)「メルトダウンしていたのは、原発の炉心だけではないのだ。原因企業である東電の経営者たち。責任官庁である経産省の官僚たち。原子力安全委員会や保安院の原発専門家たち。原発爆発企業の東電に自己責任で2兆円も貸しながら、東電の経営が危うくなると自分たちの債権保全にだけは必死な愚かな銀行家たち。未曾有の国難にもかかわらず、正気の沙汰とは思えない政争に明け暮れた政治家たち。いずれもメルトダウンしていた。エリートやエグゼクティブや選良と呼ばれる人たちの、能力の欠落と保身、責任転嫁、そして精神の荒廃を、可能な限り記録しよう。それが私の出発点だった」
 本書は2012年1月に出版された『メルトダウンドキュメント福島第一原発事故』を全面的に増補改訂したものである。政府事故調や国会事故調など明らかになった新事実と、貴重な一次資料となった東京電力のテレビ電話会議(2012年8月開示)のやりとりを加えて、第1部「悪夢の一週間」を大幅に加筆した。文庫化に伴い、「第4部 静かなる反動」「第5部ゼロの攻防」を新たに書き下ろし、民主党惨敗までの経緯を詳述。原発阻止を目論み、なりふり構わぬ陰謀を仕掛ける経産省官僚とそれに翻弄される民主党政権を克明に描いた。
★メディア絶賛!★
 福岡伸一氏(青山学院大学教授・生物学者)「あのとき一体、為されるべきことの何が為されなかったのかを知るための一級資料」(2012年3月11日 朝日新聞書評)「爆発する原発を映すテレビの前で『うわーっ』とうめいて頭を抱える斑目春樹・原子安全委員会委員長。操作ミスから3号機を爆発させてしまった作業員。『脱原発』への向かう菅直人首相を追い落とした経済産業省の官僚たち・・・・・・。責任の転嫁と情報の混乱によって危機が連鎖していくさまは、並みのパニック映画より怖い。しかし、これは実際に起きたことなのだ」(2012年3月11日西日本新聞『3・11を読む』)

[目次]
第1部 悪夢の1週間
 第1章 3月11日午後2時46分
 第2章 全電源喪失
 第3章 放射能放出
 第4章 原発爆発
 第5章 日本崩壊の瀬戸際
 第6章 まだそこにある危機
第2部 覇者の救済
 第7章 救急融資
 第8章 救済スキーム
 第9章 潰された自由化
 第10章 インナーの攻防
第3部 電力闘争
 第11章 仕組まれた原発停止
 第12章 サミット深夜の激論
 第13章 菅降ろし
 第14章 政権崩壊
あとがき
注と情報源
参考文献

東電幹部の無責任ぶりもさることながら、経産省官僚のどうしようもなさに、あらためて驚いた。
以下、本書 第3部「電力闘争」から(P.315-316)。
※ページは単行本(2012年発行)のもの。

<経産省は電力業界や原子力村とカネとポストでがんじがらめに結びついていきた。チェルノブイリとともに人類史上最悪となった福島第一原発の事故が起き、その責任省庁は経産省であるにもかかわらず、抜本的な改革――脱原発や電力自由化――に及び腰なのは、密接不可分なほど両者が一体化しているからだった。>

<ごく少数の、問題意識の高い良心的な改革派官僚がいるとはいえ、省内の大勢は、電力業界や原子力村に対して厳しい対応、すなわち相手に嫌がられるような施策をとることに逡巡してきた。それが、資源エネルギー庁次長として原発温存・電力の国体護持路線を堅持しようとした木村雅昭だったし、「菅降ろし」への関与を疑われた柳瀬唯夫だった。改革志向の強い山下隆一電力市場整備課長を牽制するためにエネ庁の電気・ガス事業部に送り込まれてきた糟谷敏秀もそうだろう。……>

<彼らにとって「電力を守る」「原発を推進する」は、組織のDNAだった。いままでそうしてきたので、その枠から外れることがえきないのだ。先輩が積み上げてきた政策や制度を変更する勇気はなく、無難な前例踏襲でお茶を濁す。……彼らには「戦犯意識」「責任感」は希薄だった。東電に優しく、原発推進に理解がありすぎた。>

こういう調子で、経産省官僚の実名をあげて、彼らの言動を詳しく書きあげ、批判している。
取材のウラ(情報源)を逐一記載しているので、信憑性が高い。

多くの人が指摘しているし、私もずっと思ってきたことだが、やはりこの国の官僚機構をなんとかしなければいけないのだな。
この本を読んで政官界の内情を知ると、政治家の力など、この国の官僚機構には及ばないものだと思う。

そして「天下り」。
下に引用した部分に続いて、具体的に天下りした元官僚の報酬額が書かれているが、1000万円から2000万円という桁外れの金額を見ていると、腹立ちを通り越してあきれてしまうほど。

民間企業ではないから、彼らに支払われる報酬の元はといえば、私たちが支払う税金か電力料金である。
やはり、腹が立つではないか。

<東京電力に副社長含みで年収1860万円の顧問に天下った石田徹(元資源エネルギー庁長官)を筆頭に、9電力と沖縄電力、電源開発すべてに経産省の天下りがいた。それに加えて、電力・エネルギー関連の独立行政法人や財団法人などに天下った経産省OBは、判明しただけで61法人に108人にものぼった。>
(本書 第3部第13章、P.316 「100人天下り」より)

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