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2014年1月30日 (木)

【読】ジグザグ天気と読書

今日は、強い南風が吹いたかと思うと、晴れ間がでたり雨が降ったり、という一日。
テレビの気象情報では 「ジグザグ天気」 と呼んでいる。
なるほど。

午前中、地元の所属団体の仕事。
午後は、小平の歯科医院。
歯の掃除も明日一日で終わる。
やれやれ。


きのうから、呉智英さんの 『吉本隆明という「共同幻想」』(筑摩書房・2012年)を読んでいる。
呉さんは、この本で吉本隆明氏の難解な著作を、丹念に、批判的に読み解いている。

呉さんが言うように、たしかに吉本氏の文章には意味不明なものが多い。
日本語として意味をなさず、読む者は理解に苦しむ――私もその一人だ。
なのに、なぜこれほど吉本氏の「人気」が高かったのか。
「よくわからないけど(よくわからないから)、すごい」 と思われていたのではないか。

―― というようなことが、丁寧に、理路整然と説かれている。
面白い。

呉 智英 『吉本隆明という「共同幻想」』
 筑摩書房 2012/12/10発行 222ページ 1,400円(税別)

<一体、吉本隆明って、どこが偉いんだろう。吉本が戦後最大の思想家だって、本当だろうか。本当かもしれない。本当だとすれば、吉本がその住人の一人である戦後思想界がどの程度のものであるか、逆にはっきりと見えてくるだろう。
 
大思想家の条件は、第一に、常人にはよく分からないことを書くことであるらしい。花田清輝もそうだし、小林秀雄もそうだ。よく分からないことを書けば、読者は必死になって読んでくれる。読んでいる途中で挫折することもあるだろうが、結果は同じである。さすがに大思想家だ、俺には読み通せないと思ってくれる。……>

<私は学生時代から二十冊近い吉本隆明の著作を読んでいる。同時代の教養、すなわち共通知識として読んできた。……しかし、吉本の著作で感銘を受けたものは一冊もない。むしろ、根本的なところで違和感を覚えていた。このことは、三十年前から自分の著作で述べていたのだけれど、なぜか共鳴者は現れなかった。
 
2012年3月の吉本隆明死去に際し、新聞や雑誌で寄稿やコメントを求められた。私は、死者への礼を失しない限りで、吉本に批判的な文章を書いたり、語ったりした。追慕、讃美の声が並ぶ中で、孤立する少数派であった。その現実に私は以外の感があった。
 
吉本隆明って、どこが偉いんだろう。本当にみんな吉本は偉いと思っているのだろうか。>

(終章 「吉本隆明って、どこが偉いんですか?」 P.217- より)

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