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2014年2月18日 (火)

【読】読了 「原子力 負の遺産」

去年11月末に購入し、読みかけてそのままになっていた本。
ようやく読み通した。

『原子力 負の遺産――核のごみから放射能汚染まで』
 北海道新聞社編 北海道新聞社
 2013/8/28発行 254ページ 1,500円(税別)

原発からでる「核のごみ」、事実上破綻している核燃料サイクル計画、原子炉の廃炉―。解決を先送りできない原子力関連の重い課題に、北海道新聞記者が鋭く迫る。「メディア・アンビシャス」活字部門大賞、「JCJ(日本ジャーナリスト会議)」賞受賞連載企画。
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[目次]
第1部 核のごみどこへ
 処分場誘致の動き―幌延 商工業者ら期成会準備
 研究と施設―別組織で分担 関係は密接
 幻の誘致運動―「生コン売れるから」
 住民不在の候補地選び―下川町 今も消せぬ記憶
 強行から対話路線へ―エネ庁「女性の視点」利用
 消えないゴミ―「発生地で処分」の声も
 先行するフィンランド―再処理せず直接埋設 2020年代操業
 核のごみの原風景―人形峠のウラン残土問題
第2部 核燃半島
 廃棄物 全国から集積―活断層の疑念残し
 貧しき過疎地の希望―国策に生き、国策に揺れる
 地元と国 再処理堅持―核のごみ 見直しの障壁
 「再処理」が大間推進―深刻な余剰プルトニウム
 脱却か依存か 正念場―立地の葛藤 未来の縮図に
第3部 もんじゅという「夢」
 動かぬ原子炉―1日5千万円 発電ゼロ
 1兆円事業―群がる産業界
 実験炉 ささやかな成功―数十グラムの核燃サイクル
 霞が関の主導権争い―予算半減 焦る文科省
 延命策―「増殖」の夢捨てても
[対談]第1部~第3部をふり返って
 鈴木達次郎 内閣府原子力委員会委員長代理
 枝廣淳子 「幸せ経済社会研究所」所長
第4部 廃炉時代
 被ばく深刻 人海戦術―未知の工程 終わり見えず
 解体ごみ 行き場なし―原発「見切り発車」のツケ
 不良資産 経営の重荷―甘いルールで備え先送り
 技術立国 世界が注目―安全な解体 たゆまぬ研さん
 地元の自立探る動き―解体作業を商機に
第5部 放射能 見えない汚染
 放射線管理区域―福島県の1割、札幌市の1.6倍
 読めぬ影響―除染に壁
 業者殺到―帰還は遠く
 不信増幅―拭えぬ不安
 低線量域―新たな神話
 不安置き去り―声上げ続けなければ
第6部 論 3・11後の視点
 倉本聰 脚本家 「新しい生き方創出を」
 寺島実郎 日本総合研究所理事長 「技術と影響力維持を」
 今中哲二 京大原子炉実験所助教 「事故を覚悟できるのか」
 近藤駿介 原子力委員会委員長 「リスクの想定厳しく」
 新野良子 柏崎刈羽原発の透明性を確保する地域の会会長 「安心 自ら努力して確保」
 開沼博 福島大特任研究員 「立場越え徹底議論を」
 池澤夏樹 作家 「撤退戦略 一刻も早く」

【参考サイト】
「今後も検証続ける」 新聞協会賞、JCJ賞受賞記念 北海道新聞記者が講演-北海道新聞[道内]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/501488.html

2012年4月から2013年2月にかけて北海道新聞朝刊に連載された <原子力 負の遺産> シリーズの記事に、他の関連記事を加えてまとめられたもの。

<原子力の「推進派」を取材対象の中心に据え、実名の記述にこだわる。積み上げた事実で語らせる。専門用語を平易に説明する。> という方針で取材されている。
はじめから「反原発・非原発」を謳っていないからこそ、説得力のある内容だ。

原発推進・維持の立場をとる人たちに決定的に欠けているものが、よく見えてくる。

池澤夏樹さんが第6部のインタビューで語っているように、<いくら対策を講じても安全な原発は作れない。それ以上に「原発は人の手に負えない」という原理論で考えるべき>なのだ。

北海道新聞だけあって、地元・北海道の原発関連事情が詳しく取材されている。

私も詳しく知らなかったし、一般にもほとんど知られていないと思われるのが、道北・幌延町の「幌延深地層研究センター(深地層研)」だ。
これは、核のごみと呼ばれる高レベル放射性廃棄物の、処分技術を研究する地下施設。
核のごみ処分場にはしない約束で建設・運営されているものの、地元では、なんと原発誘致や処分場誘致の動きもあったという。

<北海道幌延町は80年代以降、核のごみの処分場計画をめぐり揺れ動いた。誘致を目指した町に対し知事は反対を表明。「核廃棄物を持ち込まない」という制約を課し、地下研究施設「幌延深地層研究センター」の建設が認められたのは約20年後の00年だった。
 幌延町は当初、原発の誘致を目指した。原発立地自治体にもたらされる電源三法交付金が目当てだった。しかし、予定地の地盤が悪く断念。その後、旧科学技術庁長官も務めた元衆院議員、中川一郎(故人)の提案で、廃棄物の貯蔵施設や処分場を誘致する方針に切り替えた。廃棄物処分にも多額の金が交付されるからだ。>

(本書 P.43-44)

ここでも、全国の原発・核関連施設と同様に、根強い反対もカネの誘惑には勝てない現象が起きている。
悲しく、腹立たしいことだ。

北海道には泊原発があるが、建設中の大間原発は対岸の函館にも近く、さらにこのような施設まで抱え込んでいる。
北海道で生まれ育った私にとっても、他人事ではない。

幌延深地層研究センター
http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/

― 以下、Wikipediaより抜粋 ―

 幌延深地層研究センター(ほろのべしんちそうけんきゅうセンター、英: Horonobe Underground Research Center)は、北海道天塩郡幌延町に所在し、日本原子力研究開発機構が管理運営する、地下350m以上の深さへの放射性廃棄物の地層処分に関する研究を行う施設。同種の施設は、岐阜県瑞浪市と茨城県東海村にある。北海道及び幌延町との間で、本施設に放射性廃棄物が持ち込まれることはなく、処分場とすることもないとする協定を締結している。

 日本海から約14kmの内陸に位置し、宗谷本線幌延駅からは東北東に直線距離で3kmほど離れた北海道道121号稚内幌延線沿いにある。研究管理棟・試験棟・PR施設「ゆめ地創館」などからなる地上施設、東立坑・西立坑・換気立坑と排水処理施設からなる地下施設、掘削土保管場で構成される。

 1980年ごろ、町長及び町議会は札幌市の皮革なめし工場の誘致を試みた。同じころ、原子力船むつの母港の誘致も行ったが、いずれも成功には至らなかった。1981年2月、泊発電所に次ぐ道内二か所目の原子力発電所を誘致すべく、町費を投じてボーリング調査をしたが、沿岸の浜里地区の地盤は脆弱で、立地には不適であった。1981年夏、上山利勝町議会議長(後の町長)と旧知の仲だった中川一郎科学技術庁長官から、南太平洋諸国の反対により頓挫した海洋投入に代わる放射性廃棄物施設の誘致話を持ちかけられた。3000トン級の港湾を整備し、町営倉庫の保管料と電源三法交付金が町の歳入となるというものであった。1982年2月25日の毎日新聞のスクープ記事により動燃による低レベル廃棄物施設計画が公知となると、町内の商工業者は誘致期成会を結成。近隣の浜頓別町と東利尻町(現:利尻富士町)の議会は反対の決議を採択するなどの反応を見せた。1983年1月の中川の死去、同年4月の北海道知事選挙で誘致に否定的な横路孝弘の当選、長崎県的山大島や鹿児島県馬毛島など他の候補地が現れたことなどにより、幌延の誘致計画は白紙に戻るかに見られた。しかし、1984年4月21日、共同通信は高レベル廃棄物のガラス固化体貯蔵施設計画を報じた。これを受け、中川町議会では誘致反対の決議を採択するなど、一部の周辺町村は反対の動きを強めた。

 2000年10月24日、北海道は「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を制定。特定放射性廃棄物の試験研究の必要性と、廃棄物の受け入れが困難である旨を定めたものであるが、事実上受け入れ表明と引き換えとなった。

 2001年3月、当時の核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)は北海道と幌延町に深地層研究計画を説明、同年4月に幌延深地層研究センターが開所した。ヘリコプターによる調査や地上調査ののち、同年10月よりボーリング調査を開始。2002年5月に深地層研究が発電用施設周辺施設整備法第2条施設に加えられた。幌延町北進地区と、同町上幌延地区の候補地のうち、ガスの湧出や道路事情などを考慮し、同年7月に北進地区が選定された。2003年3月に用地を取得。2005年4月に地上施設、同11月に地下施設とPR施設を着工した。2007年6月にはPR施設「ゆめ地創館」がオープンした。

 2013年10月9日、すでに掘削が終わっていた東西の立坑と換気立坑を結ぶ周回坑道の全域が貫通した。


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【関連するこのブログの過去記事】
2013年11月27日 (水) 【歩】中央図書館、他
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-ef08.html
本書の目次等は、この過去記事から再録した。

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