【読】この小説はおもしろい
近作 『タマサイ 魂彩』 (2013年11月、南方新社)を読んでショックを受けたので、前作にあたるこの小説を読んでみようと思った。
すでに絶版・品切れだったため、図書館から借りている。
昨夜からようやく読みはじめた。
これまた、すごい小説だ。
星川淳 『ベーリンジアの記憶』
幻冬舎文庫 1997/9/11 318ページ
― 文庫版カバーより ―
偶然に出会った一枚の絵がきっかけでアラスカへ旅立つ由季。そこで彼女はインディアンの不思議な儀式を体験し、思いがけず太古の世界を<夢見>する。由季が見た、ユーラシアと北アメリカにかかる<陸の橋>ベーリンジアと少女ユカナの長く過酷な旅の物語は、前世の自分の姿なのか――。輪廻の糸を手繰って、果てしない過去と現在を繋ぐ長編小説。
電子書籍(Kindle版)で2013年10月に復刊されている。
上の右側のAmazonリンクがそれだ。
第1作『ベーリンジアの記憶』電子版で復刊 - 星川淳 INNERNET WORKS
http://hoshikawajun.jp/news/14-books/9-1-2.html
親本は1995年3月、幻冬舎から発行された 『精霊の橋』 だという。
改題して文庫化された。
私は、改題後のタイトルの方がずっといいと思う。
「ベーリンジア」 とは、氷河期、ベーリング海が陸続きだった頃、ユーラシア大陸(シベリア)と北米大陸(アラスカ)をつなぐ「陸の橋」を指す。「ベーリング地峡」とも呼ばれる。
<ベーリング地峡は、氷河期に現在のアラスカとシベリアの間(ベーリング海峡)に存在した地峡。ベーリング陸橋またはベーリンジアとも呼称される。南北が最大1600kmの地峡である。
人類がアメリカ大陸へ進出するまでの経路として取り上げられることが多い。一般的に、アフリカ大陸で進化した人類は、ユーラシア大陸を経て、最終氷期の1万8000年前~1万5000年前にベーリング地峡を渡り、厚い氷河に覆われた内陸部のアラスカ・カナダ・北アメリカを避けて、太平洋沿岸(現在は海中に没しているが、当時の太平洋沿岸は、氷河も無く、水と食料の調達可能な、緑豊かな陸地であった)に沿って南下し、南北アメリカ大陸へ到達したものと考えられている。> ― Wikipedia ―
人類発祥の地がアフリカ大陸であり、長い年月をかけて世界中に広がっていったことは、今では通説になっている。
さらに、南北アメリカ大陸まで広がっていったと思われるのだが、そのルートとして重要視されているのがベーリング地峡(ベーリンジア)だ。
この小説は、そこが舞台になっている。
『タマサイ 魂彩』 は、太平洋を舟で渡った民の記憶をモチーフにしている。
人類の雄大な旅(グレートジャーニー)に思いを馳せる。
両作品とも構成に心憎い工夫が凝らされていて、ぐいぐい読ませる。
ひさしぶりに面白い小説に出会った。
■作者の公式サイト■
星川淳 - アシタノアシアト
http://hoshikawajun.jp/
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