« 【歩】春をみつけに | トップページ | 【読】たまには雑誌でも »

2014年3月21日 (金)

【読】やれやれ、ようやく読みおえた

図書館の貸出期限(二週間)内に、読みおえた。
この一週間、少しずつ読んでいた本。

古市憲寿 (ふるいち・のりとし) 『誰も戦争を教えてくれなかった』
 講談社 2013/8/6発行 326ページ 1,800円(税別)

世界各地の戦争博物館を訪ねたレポートも面白かったが、第5章 「たとえ国家が戦争を忘れても」と、第6章 「僕たちは戦争を知らない」 あたりが興味ぶかい内容だった。

「大きな記憶」と「小さな記憶」――戦争の記憶をこのように捉える考え方には、なるほどと思わされた。

<歴史に関する博物館を作ること。教科書を作ること。それは、ある時代を「大きな記憶」として次の世代へ継承することである。いくら両論併記をしようと、たとえ中立的な記述を心がけようと、設計者や製作者は何かを選び、何かを捨てて歴史を記述せざるを得ない。>

<だけど本当は、経験者の数だけ、いやそれ以上に「戦争」の姿がある。同一人物であっても、戦争から時間が経ったがゆえに忘れてしまうこと、逆に思い出すこと、打ち明けられることがある。
 そうした数え切れないくらいの「小さな記憶」が取捨選択され、「大きな記憶」が紡がれる。…(中略)…
 しかし「小さな記憶」同士は往々にして食い違うこともあるだろうし、そうして集められ「大きな記憶」同士も時にぶつかり合う。そもそも「小さな記憶」を素直に拾い集め、つなげたところで、それがそのまま「大きな記憶」になるわけではない。>
  (第5章 P.231)

そして、著者の結論。

<誰も戦争を教えてくれなかった――。
 そんな素朴な問題意識から、この本は始まった。しかし、戦争博物館を巡り、戦争に関する本を読みながら気がついたのは、誰も戦争を知りようがないし、教えようがなかったのではないかということだ。>
 (第6章 P.283)

<僕たちは、戦争を知らない。
 そこから始めていくしかない。
 背伸びして国防の意義を語るのでもなく、安直な想像力を働かせて戦死者たちと自分を同一化するのでもなく、戦争を自分に都合よく解釈し直すのでもない。
 戦争を知らずに、平和な場所で生きてきた。
 そのことをまず、気負わずに肯定してあげればいい。>
 (第6章 P.286)

巻末の、ももクロ(ももいろクローバーZ)と著者との対談も面白い。

1993年から96年生まれというから、まだ二十歳になるかならないかの彼女たちに、「あの戦争」(アジア太平洋戦争、大東亜戦争)の知識を求めるのは酷だが、あまりにも歴史知識がないことに、唖然とした。

しかし、彼女たちの話を聞けば、無理もないと思う。
学校で近現代史をほとんど教えてもらっていないのだった。
日本史の授業って、そういえば、近現代史はほとんど駆け足で流してしまうものなあ。

・日本が最も長く戦った相手国はどこですか?
・日本と同盟関係にあった国はどこですか?
・日本が真珠湾攻撃を行ったのはいつですか?
・ヒロシマと長崎に原子爆弾が落とされたのは、それぞれいつですか?
・日本が終戦を迎えた日はいつですか?


他にもあるのだが、こういった質問に若い人たちが答えられないのは、しかたがないのかもしれない。

それよりも、「ももクロ」がもらす、「戦争はいやだな」「どうして戦争をするのかわからない」といった、素朴な感性に希望が持てるのかもしれない。

付録の 「戦争博物館レビュー」 が役に立ちそうだ。
国内の博物館が22か所、国外が25か所、掲載されている。

それぞれの博物館について、エンタメ性、目的性、真正性、規模、アクセス、の5項目に5段階評価を付け、総合点を与えている。
著者が付けた総合点のベストテン。
頭の数字は、順位(同点の場合は同順)。

1. ザクセンハウゼン記念館・博物館  ドイツ・ベルリン
2. アウシュビッツ博物館  ポーランド・クラフク
2. 戦争記念館  大韓民国・ソウル
4. ベルリン・ユダヤ博物館  ドイツ・ベルリン
4. 独立記念館  大韓民国・天安
6. アリゾナ・メモリアル(パールハーバー)  アメリカ・ハワイ
6. シンガポール国立博物館  シンガポール
6. シロソ砦(FORT SILOSO)  シンガポール
9. 広島平和記念資料館・原爆ドーム  日本・広島
9. ヨーロッパ・ユダヤ人犠牲者記念館  ドイツ・ベルリン
9. 侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館  中国・南京

日本には、国公立の「戦争博物館」がない。
「平和祈念館」や各種「記念館」があるだけ、というあいまいさが、この国の「あの戦争」に対するあいまいな態度を、表しているのだろう。

民間の資料館に興味ぶかいものがある。

|

« 【歩】春をみつけに | トップページ | 【読】たまには雑誌でも »

【読】読書日誌」カテゴリの記事

あの戦争」カテゴリの記事

こんな本を読んだ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/139344/59330968

この記事へのトラックバック一覧です: 【読】やれやれ、ようやく読みおえた:

« 【歩】春をみつけに | トップページ | 【読】たまには雑誌でも »