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2014年3月19日 (水)

【読】早く読んでしまわなきゃ

今日は北風が強く、夕方になると肌寒いほどだった。
このところ春めいた天気が続いたが、明日は最高気温が10度に満たないという。
春が足踏みしているような。

本を読む時間がまとめてとれない。
読みかけの本を、土曜日には返却しなければならず、ちょっと焦っている。

古市憲寿 (ふるいち・のりとし) 『誰も戦争を教えてくれなかった』
 講談社 2013/8/6発行 326ページ 1,800円(税別)

目次
序章 誰も戦争を教えてくれなかった
第1章 戦争を知らない若者たち
第2章 アウシュビッツの青空の下で
第3章 中国の旅2011‐2012
第4章 戦争の国から届くK‐POP
第5章 たとえ国家が戦争を忘れても
第6章 僕たちは戦争を知らない
終章 SEKAI no OwarI
補章 ももいろクローバーZとの対話

著者紹介
古市 憲寿 (フルイチ ノリトシ)
1985年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員(上席)。専攻は社会学。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)で注目される。大学院で若年起業家についての研究を進めるかたわら、マーケティングやIT戦略立案、執筆活動、メディア出演など、精力的に活動する。

1985年生まれというから、まだ二十代の若い社会学者。
学者めいたところが感じられず、今どきの若者の軽いノリで書かれている本だ。

世界の戦争博物館を訪ねたレポートと、著者の戦争観が綴られている。
ハワイのパール・ハーバーにある「アリゾナ・メモリアル」に始まり、アウシュビッツ、ベルリン、イタリア、中国(上海、長春、瀋陽、大連・旅順)、韓国、日本国内(沖縄、東京、他)等々と、その足跡は広範囲にわたる。

<「戦争、ダメ、絶対に」と繰り返しながら、戦争の加害者にも被害者にもなりきれない日本>――と、繰り返し著者が言う、この国のあいまいさが浮びあがってくる。

学者さんらしいといえば、まるで論文のように脚注が多く、いちいち引用の出典が明記されている。
しかし、その脚注のなかには、軽い独り言のような冗談めいた記述がちりばめられていて、笑いを誘う。
もちろん、真面目な注釈もあるが。

例1)
 第五博物館は、「国を取り戻す」がテーマだ。
  脚注 : どっかの国の選挙ポスターみたいだ。 (第4章 P.146)

例2)
 普通、修学旅行生たちは平和祈念資料館を訪れ、平和の礎あたりで集合写真を撮影し、平和祈念堂内のホールで戦争経験者の話を聞くというコースをたどる。僕が訪れた時もちょうど、修学旅行生たちが戦争の話を熱心に聞いていた。
  脚注 : と、思ったらかなりの数の生徒が寝ていた。先生も寝ていた。 (第5章 P.188)

「今どきの若者の軽いノリ」と私が感じたのは、こういう点だ。

著者の戦争に対する考え方も、これはこれで、柔軟でいいと思う。

この本についてAmazonのレビューでは毀誉褒貶がまちまち。
「これが社会学者の書いた本か」「読んで損した」といった極端な感想も目にしたが、私はそう思わない。

巻末に、あの人気グループ「ももクロ(ももいろクローバーZ)」と著者との対談がある。
まだ、そこまでたどり着いていないが。

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