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2014年3月 3日 (月)

【読】コートジボワール

コートジボワールといえば、つい先ごろ(2014年1月)、日本の総理が訪問した西アフリカの国。
かつて日本では「象牙海岸共和国」と呼ばれていた。
フランスの植民地だったが、1960年に独立。
しかし、その後もクーデターや内戦が続いていた。

安倍さんが何をしに行ったのか、このタイミングで訪問した理由がよくわからなかったが……。
ネット検索してみると、外務省のこんな発表があった。

安倍総理大臣のコートジボワール訪問(概要と成果) | 外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/af/af1/ci/page18_000165.html

この記事から。

安倍総理は,1月10日(金曜日)から11日(土曜日)までコートジボワール共和国を訪問したところ,概要は以下のとおり。
1.概要と成果
 (1)安倍総理は,日本の総理大臣として初めて仏語圏西アフリカを訪問した。本訪問では,コートジボワールのみならず,3億人を擁する15ヶ国が経済統合を進める西アフリカ地域に対する平和と安定・経済成長・ビジネスに関する日本の関与を示すことを目指した。
 (2)コートジボワールとの間では,「西アフリカの玄関口」として,紛争から復活し年10%近い成長を実現している同国に対して,国民和解等への支援に加え、平和・安定と経済成長を共に実現し民間投資を促進するためのインフラ,産業・人材育成,投資促進等の協力を本格化することを表明し,また,民間等の代表を交えた拡大首脳会合を行い,今後の日本企業の進出促進への布石とすることができた。
 (3)更に,西アフリカの地域機関ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)の議長であるウワタラ大統領の呼びかけに応じ,同機関加盟の周辺10か国の首脳が集結した。安倍総理は,コートジボワールを含む11ヶ国の首脳との間で,日本企業はアフリカ諸国のインフラ整備,人材育成や政治的安定等を求めているとしつつ,西アフリカが魅力的な地域となり民間投資を呼び込むためのビジョンについて活発な議論を行った。あわせて、安倍総理から、サヘル地域への8340万ドルの支援の用意を表明した。11の首脳との信頼関係が強化されると共に,西アフリカとの経済関係強化も見据えて協力していくことで一致し,15か国3億人が連帯を強め経済統合を進める西アフリカとの関係強化を図ることができた。
 (4)この他,スポーツ関連行事(首脳間でのサッカー代表ユニフォーム交換,柔道「安倍杯」)や女性職業訓練施設視察を通じ、草の根レベルも含む両国間の重層的な友好関係が強化された。

……以下、割愛。

「経済支援」「関係強化」――日本企業が西アフリカ諸国に進出するための旗振り役か。

ところで、2月19日からほぼ二週間かけて、図書館から借りてきた本を読み続けている。
苦労して読んできたが、あと少しで読みおえる。

この本の重要な舞台がコートジボワール。
チョコレートの原料であるカカオ豆の産地だ。

『チョコレートの真実』  BITTER CHOCOLATE
 INVESTIGATING THE DARK SIDE OF THE WORLD'S MOST SEDUCTIVE SWEET
キャロル・オフ Caroll Off 著/北村陽子 訳
英治出版 2007/9/1発行 381ページ 1,800円(税別)

原題は「苦いチョコレート」。
副題は「世界で最も魅力的なお菓子の裏側を調査する」とでも訳せばいいのか。
緻密な現地取材にもとづいたノンフィクションで、読んでいると暗澹たる気持ちになった。

以下、本書カバーに書かれた内容紹介。
長いが、この本の内容がよくわかるので、まるまる採録した。

カカオの国の子供たちは、
チョコレートを知らない。

世界最大のカカオ豆の輸出国、コートジボワール。密林奥深くの村を訪れたカナダ人ジャーナリストの筆者は、カカオ農園で働く子供たちに出会う。彼らは自分たちが育てた豆から何が作られるのか知らない。自分に課された過酷な労働が、先進国の人々が愛するお菓子のためであることも、チョコレートが何なのかさえも――。

マヤ・アステカの時代から現代まで。
魅惑の歴史に潜む苦い真実。

チョコレートの歴史は古代メソアメリカ文明にまで遡る。神聖な「神々の食べ物」は、一握りの人々のものだった。それはカカオが中世ヨーロッパに伝わってからも、近代、そして現代に至っても変わらない。チョコレート産業の華麗な発展の陰には、悲惨な奴隷制と強制労働の歴史があり、そして廉価な労働力=子供たちの血と涙がある。

危険と陰謀がうずまく世界へ。
女性ジャーナリストの果敢な挑戦。

巨大企業と腐敗した政府、武装勢力、農園経営者らが、児童労働の上に築いたカカオ産業を牛耳っている。巨悪に挑む者、知りすぎた者は死の危険にさらされる。だが、今この時も、子供たちは狙われ、酷使されているのだ。経済は破綻し、政権は揺れ、人々は内乱に明け暮れる国。そこに乗り込んだ筆者が目にしたものとは――。

この溝は超えられないのか?
胸に迫る衝撃のノンフィクション。

NGOによる支援やフェアトレード運動の理想と現実。エコを売りにした企業が巨大資本の闇に絡め取られていく産業界。そして私たち消費者の手元にはチョコレートがあり、地球の裏側には今もあの子たちがいる。経済に良心はあるのか。私たちにできることはないのか――。「真実」が投げかける問いが胸を打つノンフィクション。

こういう本を読まなければ、カカオ豆に関わる世界の現実を知ることはなかったかもしれない。
私たちが今生きている世界の、現実の一面。

コンビニやスーパーの売り場に山のように積まれているチョコレートを見る私の目が、これまでと変わった。

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