【読】講談風読み物 「明治裏面史」
今日はすでに気温が31度まであがっている。
5月最後の日だが、真夏の暑さだ。
図書館から借りてきて、一昨日読みはじめた上下2巻のうち、上巻を読了。
これから下巻に移る。
明治、大正、昭和初期に活躍した講釈師(1867~1938)が書いた 『明治裏面史』 という復刊本だ。
維新期の歴史にそれほど関心がなかったので、面倒な内容なのかなと思いながら読みはじめた。
読んでみると、これがとても面白い。
講談調の語り口がいい。
活字も大きめ。
復刊に際して新漢字新仮名遣いに改め、表記も現代文にしているのも、読み易さの一因だろう。
原著は昭和14年6月刊行の 『隠れたる事実 明治裏面史』 (大同出版)とあるが、著者の伊藤痴遊はその前年に亡くなっている。
大正12年(1923年)に星文館からも出版されている。
→ 明治裏面史 : daily-sumus http://sumus.exblog.jp/9345983/
さらに、ネットの「日本の古本屋」で検索してみたところ、大正5年、成光堂出版部刊というのもあったので、最初の出版はもっと前だったのかも。
→ 日本の古本屋 https://www.kosho.or.jp/top.do
「隠れたる事実 明治裏面史」 を検索
ともあれ、昭和14年といえば、太平洋戦争前夜、日中戦争のさなかだ。
この時代に、こういう明治維新期の内幕暴露的な内容が出版されていたことに驚く。
不勉強な私が歴史教科書レベルでしか知らなかった明治維新期のさまざまな出来事。
そこに、たくさんの隠されたエピソードがあったことが、痛快。
描かれている明治の元勲たちの人間臭さが、また、たまらない。
同時代人の伊藤痴遊が見聞したことなのだろうが、「講釈師、見てきたような嘘を言い」という言葉もあるほどだから、どこまでが本当の話か。
眉に唾をつけながら読むのだが、それでも引き込まれてしまう。
『明治裏面史』 (上・下) 伊藤痴遊 著
国書刊行会 2013/4/25発行
(上巻)
201ページ 1,800円(税別)
(下巻) 243ページ 1,800円(税別)
伊藤 痴遊 (いとう ちゆう)
1867(慶応3)年4月24日神奈川県生まれ。明治、大正、昭和初期に活躍した日本の講釈師、政治家、ジャーナリスト。政治講談を語った。号は双木舎痴遊。自由党員。講釈師のかたわらで政治活動を続け、衆議院議員に二回当選したほか、東京市会議員なども務めた。1938(昭和13)年死去。
■
ためしに、この本がネット上でどれほどとりあげられているのだろうかと検索してみたが、あまり見当たらない。
松岡正剛さんの「千夜千冊」でも、とりあげていないようだ。
Google検索で見つけた書評的な記事(ブログ)。
他にもありそうだが、覚え書きとして。
明治裏面史/伊藤痴遊|とてつもないカマキリ剣法
http://ameblo.jp/56system/entry-10060238825.html
明治裏面史 : daily-sumus
http://sumus.exblog.jp/9345983/
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