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2014年6月15日 (日)

【読】町の図書館のパイオニア

今日も気温は高いが、涼しい風が家の中に入ってきて、さわやかだ。
昼前、ワールドカップの日本代表初戦をテレビで観る。
コートジボワールに2対1で逆転負けしてしまい、残念。


きのうから読んでいる本が面白い。
乾いた砂に水が沁みこむように、こちらの気持ちにすーっと入ってくる内容。

先日の岡崎武志さんの講演会で、岡崎さんから紹介された本。
図書館から借りて読んでいる。
三分の二ぐらいまで、読み進んだところ。

前川恒雄 『移動図書館ひまわり号』
 筑摩書房 1988/4/15発行 218ページ

Himawarigou

昭和40年(1965年)頃。
それまで図書館のなかった日野市で、「ひまわり号」という移動図書館から始めて、市立図書館を作るために奮闘した体験談だ。

「市民サービス」「貸出重視」という、今ではあたりまえになっている公共図書館の理念が、当時は、なかなか理解されなかったことを知る。

 図書館は本と人が出会う場所である。市民はみずからの意思でやって来て、みずからの考えで本を選ぶ。そして、本から何を読みとり、何をしようが、図書館は関知すべきではないし、できるものでもない。 (P.112)

とてもシンプルな言葉で、公立図書館の原点とも呼ぶべき考え方だ。
また、「図書館は無料貸本屋」という、心ない言葉に対しては――

 図書館のことを「無料貸本屋」と言う人たちがいるが、図書館と貸本店に対する二重の侮辱に気づかないそういう人たちは、ぜひ一度、大竹文庫に行って学んでほしい。 (P.141)

と書いている。
これは、著者(当時、初代館長)のもとを訪ねてきた貸本店主との交流を振り返った箇所。
大竹文庫とは、杉並区で大竹正春が営んでいた貸本店で、日野の図書館活動を見て、いろいろ教えてほしいと言ってきたのだ。
著者もこの店を訪ねて仕事を見せてもらい、大竹が、読んでほしい良い本はタダで貸していることを知る。

このように、私などがあたりまえと思っていた公共図書館の姿が、じつは、先人の努力のたまものだった。

他にも、東村山の電車図書館(団地内に設置された廃棄車輛を利用した児童図書館)の先駆が、日野市の「多摩平児童図書館」(1966年開館)だったことや、日野市の図書館に刺激されて、東村山市でも市立図書館を作ろうという住民運動がおきたことなど、この本ではじめて知った。

【参考サイト】
日野市立図書館
 https://www.lib.city.hino.lg.jp/index.html
  日野市立図書館のあゆみ
   https://www.lib.city.hino.lg.jp/hnolib_doc200801/library/ayumi.htm

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