【読】返して借りる
今日も晴れて、秋らしい天気だった。
四日間、臨時休館だった地元の図書館へ行き、隣接市(東村山)の図書館にも行った。
たくさん借りていた本の一部を返却。
読み終えた本も、読めなかった本もある。
返却した本のなかでは、この一冊が面白かった。
活字が大き目、ページも少なく、読みやすかった。
水野剛也 『「自由の国」の報道統制――大戦下の日系ジャーナリズム』
吉川弘文館 2014/6/20発行 195ページ 1,700円(税別)
著者は1970年生まれだという。
私から見れば、まだ若い。
<日米開戦後、アメリカの日本語新聞は激減した。言論・報道の「自由の国」で何が起こったのか。日系人収容施設で発行された新聞の実態に迫り、日系人ジャーナリズムへの報道統制から、戦時民主主義下の「自由」を考える> という内容。(e-honサイトより)
日米開戦後、アメリカに住んでいた日系人が強制収容所の入れられていたことは知っていたが、その実態をよく知らなかった。
この本は、日系新聞に対する弾圧(発行停止に追いやられた)と、収容所内での報道統制という限られた対象についてだが、史料に基づいた丁寧な論考。
勉強になった。
― e-honサイトより ―
[目次]
第二次大戦下の日系アメリカ人と報道統制―プロローグ
アメリカへわたった日本人と排斥運動
アメリカへわたった日本人
激しい差別と日本人移民の途絶
アメリカの日本語新聞
日系人ジャーナリズムの誕生と発展
日米開戦前夜の日本語新聞
日米開戦と強制立ち退き
日米開戦の衝撃と直後の報道統制
日本語新聞の利用と「自己規制」
政府と日本語新聞の不均衡な相互依存関係
政府内の意見対立とその結末
立ち退きによる最終的な発行停止
キャンプへの収容
二種類の収容施設(キャンプ)
集合所の管理当局
集合所における報道規制
転住所の管理当局
転住所における報道統制
「自由の国」の報道統制―エピローグ
■
この本を借りた東村山市立図書館(富士見図書館)で日本史コーナーを眺めていて、興味ぶかい本をみつけた。
北村賢志 『日米もし戦わば――戦前戦中の「戦争論」を読む』
光人社 2008/5/18発行 324ページ 1,800円(税別)
この著者も1970年生まれ。
比較的若い世代が、先の戦争を掘り下げ、あたらしい視点で研究していることは心強い。
それにしても、図書館のありがたいのは、このような本が偶然みつかることだ。
書店(古書店を含む)やネット情報だけでは、この本に出会うことができなかったかもしれない。
Amazonで入手可能。
― e-honサイトより ―
[要旨]
「戦前の日本人はアメリカの国力を知らなかった」「戦中の日本人はみな神懸かっていた」は本当か?―「日米未来戦記」がブームだった昭和初期、“来るべき戦争”を論じた現役軍人・軍事評論家らの著作を読み解き、俗説を打ち砕く。
[目次]
『われ等若し戦はば』を読む―平田晋策・著(昭和八年八月発行/講談社)
『米國海軍の眞相』を読む―財団法人有終會・編(昭和七年十一月発行/創造社)
『日米果して戦ふか』を読む―石丸藤太・著(昭和六年八月発行/春秋社)
『昭和十年頃に起る日本對世界戦争』を読む―石丸藤太・著(昭和七年五月発行/日月社)
『日本は勝つ』を読む―福永恭助・著(昭和十八年五月発行/高山書院)
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