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2015年6月 5日 (金)

【読】「遠野物語」を読む

柳田國男の 『遠野物語』 を通して読もうと、一念発起。

これまで、拾い読みや解説本に引用された部分しか読んだことがない。

これほど面白い物語はないのだが、なにしろ明治の文語体なので読みにくい。
意味のよくわからない言葉もたくさん出てくる。

たとえば、序文にでてくる 「此書の如きは陳勝呉広のみ」 とか、「遠野の城下は則ち煙花の街なり」 などという部分。
ちいさな辞書には出ていない漢語の意味がわからなくて困る。

そこで、こんな本をみつけて図書館から借りてきた。

手もとに置いておきたいぐらいのいい本だが、残念なことに新本は手にはいらない。
わけあって自粛しているAmazonに、つい手が伸びそう。
少々値が張る。

『注釈 遠野物語』
 後藤総一郎 監修/遠野常民大学 編著
 筑摩書房 1997/8/20発行 406ページ 3,900円(税別)

『遠野物語』のテキストとして初版本(聚精堂、1910年)を掲載し、毛筆本(草稿本)の内容を対比させているのが特徴。
詳細な注釈と解説が添えられている。
労作である。

この本は、さきごろ読んだ 『遠野物語へようこそ』(ちくまプリマー新書/三浦佑之・赤坂憲雄)の巻末ブックガイドで紹介されていたので知った。

<地元の人々が掘り起こした資料や、聞き取り調査をもとに、『遠野物語』を読み解く本格的な注釈書。初版本と自筆毛筆草稿本を掲載、写真や地図も充実している。> (同書ブックガイドより)

この「遠野常民大学」というグループは、「野の学・生活者の学としての共同学習運動」(『注釈 遠野物語』より)。
地元のさまざまな人のあつまりで、こういう活動はすばらしい。

もう一冊。
これも 『遠野物語へようこそ』 のブックガイドで紹介されていた。
近くの図書館にあったので借りてみた。
高価な本で、現在は入手困難(Amazonにはでているが)。

『遠野物語辞典』 石井正巳 監修
 岩田書店 2003年6月発行 本文323ページ 7,900円(税別)

ところで、『遠野物語』 のオリジナル・テキストは文庫で簡単に手にはいる。

私が持っていたのは岩波文庫だが、角川ソフィア文庫版は『遠野物語拾遺』も収録されているので、最近、手に入れた。

『遠野物語・山の人生』 岩波文庫 1976年

テキストは、筑摩書房版『定本柳田国男集』を底本とし、初版本、増補版(昭和10年、郷土研究社刊)および成城大学柳田文庫所蔵の著者加筆本と校合。
解説:桑原武夫。

  

『新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺』 角川ソフィア文庫

初版序文、再版覚え書き、遠野物語、遠野物語拾遺、解説(初版:折口信夫、改版:大藤時彦、新版:鶴見太郎)、年譜、索引から構成される。

ただ、残念なことに、これら文庫版には注釈がないため、意味がよくわからない部分にぶつかったとき、困る。
いちいちネットで調べるのも面倒だ。

読むのなら、初版の原文が掲載されていて注釈・解説が充実している 『注釈 遠野物語』 がいいと思う。

冒頭にあげたことばの意味は、この本によると次のようだった。

陳勝呉広 中国・楚の時代の故事。陳勝、呉広は人名。秦滅亡のきっかけをつくったことから、「或ることのさきがけをすること」。
煙花 都市などの賑わいや華やかさをいう。

近くの図書館の閉架書庫に、『定本柳田国男集』も収蔵していたので、四巻目を借りてみた。

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