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2015年6月 7日 (日)

【読】「遠野物語」を読む(続)

梅雨空。
最高気温24度。
とうとう一歩も外に出ないですごした日。

『注釈 遠野物語』を、ざっと読み終えた。

この本には『遠野物語』の初版テキストが掲載されているので、『遠野物語』も通読したことになる。
「遠野常民大学」の人たちの労作である注釈と解説をすべて読むことはできなかったが、地元のアマチュア研究家たちの、たんねんな仕事ぶりに敬服した。

『注釈 遠野物語』
 後藤総一郎 監修/遠野常民大学 編著
 筑摩書房 1997/8/20発行 406ページ 3,900円(税別)

資料価値も高い本だとわかったので、Amazonで手に入れることにした。
近いうちに届くはず。


赤坂憲雄さんや三浦祐之さん、石井克己さんが、遠野常民大学の活動に深くかかわっていたことを知った。

さらに、赤坂憲雄さんは、著書 『遠野/物語考』 でこの活動に言及している。
ずっと本棚にしまいこんであったこの本を読みはじめた。
読んでみると、まことに面白い。

赤坂憲雄 『遠野/物語考』
 ちくま学芸文庫 1998/1/9発行 358ページ 1,200円(税別)

<『遠野物語』刊行から88年の歳月を経て、この夏、一冊の注釈書が世に送りだされた。『注釈遠野物語』(遠野常民大学編著、筑摩書房)、遠野の人々の手になる、初めての本格的な注釈と研究の試みである。注釈という華やかさから遠い仕事が、これほどに重く、深々とした衝撃をもたらすのは、なぜか。(後略)> (P.341-342)

<これまで、遠野は『遠野物語』というすぐれた文学作品の、たんなる背景にすぎなかった。この図と地がいま反転する。遠野という土地を知らずには、もはや『遠野物語』を読むことも、語ることもできない。柳田国男の『遠野物語』から、遠野の『遠野物語』へと、確実に、その解読の地平が変わる。この注釈書を携え、遠野へと旅立つとき、もうひとつの『遠野物語』との出会いの扉が開かれる。(後略)> (P.342-343)


もう一冊、思いだして一部を読み直した本がある。

五木寛之 『隠れ念仏と隠し念仏』 (こころの新書)
 『隠された日本 九州・東北 隠れ念仏と隠し念仏』 (ちくま文庫)

― e-honサイトより ―
[要旨]
五木寛之が日本史の深層に潜むテーマを探訪するシリーズ「隠された日本」の第2弾。九州には、かつて一向宗が禁じられ、300年もの間の強烈な弾圧に耐えて守り続けた信仰、「隠れ念仏」の歴史がある。それに対して東北には、信仰を表に出さず秘密結社のように守り続け、「隠す」ことで結束した信仰「隠し念仏」がある。為政者の歴史ではなく、庶民の「こころの歴史」に焦点を当て、知られざる日本人の熱い信仰をあぶり出す。
[目次]
第1部 「隠れ念仏」と知られざる宗教弾圧
 民衆が守り抜いた「隠れ念仏」
 民衆の捨て身の抵抗運動
 かつての日本にあった「魂の共同体」
第2部 「隠し念仏」が語る魂の鉱脈
 東北の隠された魂「隠し念仏」
 『遠野物語』に秘められたもの
 宮沢賢治の宗教心

 

私が持っているのは2005年刊の新書版だが、文庫で復刊されている。

このなかで、赤坂さんの仕事に言及されていて、『遠野/物語考』 もとりあげられている。
「隠し念仏」の話は、『遠野物語』の七一話にある。
五木さんが書いていることも、なかなか興味ぶかい。

前にも書いたが、五木さんのこのシリーズは、なかなか刺激的だ。

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